“磯の香りとは異なる臭い”、そしてコロナ検出も…下水も流れ込むお台場の競技会場、水質問題は改善されぬまま?
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「これがレインボーブリッジのたもとの日常だ。“トイレの臭い”という感じではないが、磯の香りとは全く違う塩素臭さ、下水の臭いがする」(榎本茂・港区議会議員)。

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 2019年8月に浮上した、東京オリンピック・パラリンピックでトライアスロンなどの競技会場として使用される「お台場海浜公園」の水質問題。テスト大会で選手から「水が臭い」などの指摘があったため調査した結果、基準値を大幅に超える大腸菌が検出され、水質の改善に取り組むことになっていた。

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ABEMA Prime』では当時、水質改善に長年取り組んできた榎本区議に話を聞き、大きな反響を呼んだ。

※『「残ったトイレットペーパーが泡のように…」「五輪には到底間に合わない」お台場の汚水に衝撃…今からでもできる東京湾の対策は

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 釣り好きが高じ、サラリーマン時代にはテレビ番組に出演したこともあったという榎本都議。ある時、水中撮影をしていると雲のようなものが流れ、魚がいなくなってしまったことを不思議に思い、調べてみると下水だったことがわかり、自らNPOを設置。区議当選後も、“環境問題の一丁目一番地”と位置付けてきたという。

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 「東京は“下水道普及率100%”、“日本で一番進んでいる”と言われていたが、特に山手線の内側など最初に開発されたエリアでは、雨水と下水を一緒にする古い仕組みが普及している。その結果、少ない年で80回、多い年では年間120日以上、トイレや台所から流れてきた下水に塩素を混ぜただけのものを東京湾に流してきた。

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 港区の場合、その放流口がお台場のすぐ目の前だ。そして東京港は遊泳禁止だが、なぜトライアスロン会場として使えるかと言えば、都条例で“ただし国際競技を除く”ということになっているから。下水の放流口からは2kmほど離れているものの、満月と新月の時には約6時間で潮位が2m30cmほど上下するため、潮止まりの時には30分ほどで水がお台場にまで到達してしまう。そういうところを遊泳会場にすると聞いて、本当に心配していた。

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 水質向上のため、いかだに牡蠣を吊るしてみたこともあるが、夏の高温で全部死んでしまったり、天然の岩牡蠣は獲られてしまったりと、上手く行かなかった。ただ、どれだけ声を上げても“ご飯を食べている時間に報道するわけにもいかない”とメディアには取り上げてもらえなかった。それが少しずつ日の目をみるようになったので、改善に向けたターニングポイントになればと思ってやってきた」。

■「具体的な改善策はとられていない」

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 あれから1年半あまり。しかし榎本区議によると、「下水道の対策は全く取られていない」という。

 「都の職員からはものすごく嫌われてはいるが(笑)、小池都知事と同じ都民ファーストの会に入ったこともあり、“門前払い”はされず、向き合ってもらってはいる。ただし、知事が“こうしようと”と言ったからといって、すぐに対応できるレベルではない。

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  また、ちょうど都下水道局が下水中の新型コロナウイルスの感染症に関する調査結果を発表、僕も内容を聞いてきたが、現実にウイルスが検出されている。これらは不活性化しているので感染はしないということだが、サンプル数が少なすぎるので、もっと徹底的にやってほしいというのが僕の意見だ。

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 なお、対策としては下水は淡水なので海水の上に流れるので、表層の汚い流れを止めてしまおうという発想の“三重スクリーン”を浮かべるという対策もあるが、僕の長年一緒に取り組んできた東大の鯉渕幸生先生などからは“ウイルスや菌の中には通過していってしまうものもあるので、完全にブロックしないとダメだ”という意見も出ていて、僕自身もこれが決定打だとは思っていない。それでも残りの日数を考えれば、フルスクリーンで完全に覆い、中を浄化するしかないのではないかと思うし、やろうと思えばすぐにできる」。

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 コロナ禍で霞んでしまった感もあるが、暑さ問題からマラソン・競歩の会場が札幌市に変更されるなど、開催をめぐって様々な課題が浮上した東京大会。直近では代々木公園などで準備が進められているパブリックビューイング会場に対する懸念の声も上がっており、中止を求めるネット署名は10万筆を超えている。

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 タレントでソフトウェアエンジニアの池澤あやかは「当初は公式サイトを見ても説明が何もなかったので、納得できない人は多いだろうなと思っていた。陰性証明やワクチン接種済証明があれば見られるという話が出てきたのでまだ納得できるが、炎上するかもしれないと分かっていて、なぜエクスキューズをしないのか。もうちょっと広報の仕方があるのではないか」、ジャーナリストの堀潤氏は「海外から来た選手たちと触れ合うという、ある意味で最前線で働くボランティアの人たちのワクチンの接種についてもケアがないまま突入するのだろうか。きっと何かあったとしても責任の所在はうやむやなままということになりそうだ」とコメント。

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 元経産官僚の宇佐美典也氏は「都知事の責任もあると思うが、菅総理もどういう形で開催するのか、メッセージを出すべきだ。開催したいのであれば、“ワクチンを打って家で見てください。それが原則だ”と今すぐに言えばいい。そうすれば納得してくれる人も多いと思うし、都の職員だって“小池知事との関係が悪くなったとしても、菅総理が言ってるんだから”と判断することができると思う。それがないから末端は責任を取るのが怖くて何も動けない」と厳しく批判した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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