「沿道にすごい数の地雷があり『道から絶対に外れるな』と」 ナゴルノカラバフ紛争、記者が見た現地の今
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 旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャンが領有権を争い、去年の9月には大規模な紛争が勃発したナゴルノカラバフ。

【映像】ナゴルノカラバフ周辺の様子

 大規模な紛争はいったん収まっているが、いまだ緊迫した状況が続く現場に先週、ANNモスクワ支局の長谷川由宇支局長が入って取材を行った。取材で見えてきた現地のリアルな状況は。

Q.そもそもナゴルノカラバフ紛争とは?

 旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの間で、100年以上にわたって続いている領土紛争。アゼルバイジャン国内にアルメニア人が9割以上を占めている「ナゴルノカラバフ」という地区がある。ナゴルノカラバフは1991年に独立を宣言して、アゼルバイジャンの軍も警察も入れない、いわば触れない地域に長らくあった。去年9月に紛争が再燃して大規模な戦闘が発生し、1カ月半で民間人を含む5000人以上が命を落としたとされている。

「沿道にすごい数の地雷があり『道から絶対に外れるな』と」 ナゴルノカラバフ紛争、記者が見た現地の今

Q.国際的な認識は?

 国連はアルメニア側がナゴルノカラバフを占拠しているという見解を示していて、日本としてもアゼルバイジャンの領土だという認識はある。

Q.現地の今の状況は?

 去年9月の紛争で、アゼルバイジャン側がナゴルノカラバフの4割ぐらいの土地を奪還した。実質的にはアゼルバイジャン側の勝利という形で、ロシアが仲介する形で去年11月に停戦に合意した。私たちも安全だと言われて行ったわけだが、滞在した25日にもアルメニア側はアゼルバイジャン軍がアルメニアの兵士1人を殺害したと発表し、これをアゼルバイジャン側は「フェイクニュース」だと非難して猛反発するなど、現在も緊迫した状態が続いている。

 現場では銃声を聞くようなことはなかったが、沿道にすごい数の地雷があった。撮影している時やトイレに行く時も「道からは絶対に外れるな」と言われ、緊張感があった。地雷は撤退するアルメニア軍が埋めたとされているが、詳細な地図がないため撤去作業は難航していて、人が安全に住めるようになるには少なくとも15年はかかるとされている。この地雷が復興を阻んでいる。

「沿道にすごい数の地雷があり『道から絶対に外れるな』と」 ナゴルノカラバフ紛争、記者が見た現地の今

 アゼルバイジャンとアルメニアの国境に近くなると検問があって、そこから先は軍隊と一緒でないと立ち入りはできない。お目付け役の軍の人がいるが、兵隊を乗せたトラックなどを撮影しようとするとものすごく怒る。「もし流した映像をアルメニア側が見たら、どこに何人軍隊を配備しているかわかってしまう」ということで、普段は紳士的に対応してくれていたが、こと兵士や兵器に関してはすごい形相で怒る。そういったことからもまだ紛争は続いているという実感はあった。差し迫った恐怖は感じなかったが、地元の人から「先月も地雷を踏んだ人が爆発した」「工事の車両が吹っ飛んだ」と聞くと、安全で人が住める地域というには程遠い。

Q.国際社会はどのように対応している? 

 今回の紛争では、宗教的にも民族的にも極めて近いトルコがアゼルバイジャンに最新鋭の戦闘無人機(ドローン)を供給するなど強力に支援した。一方のアルメニアは、お互いを軍事的に助け合う条約を結んでいるロシアが支援するのが筋だったが、ロシアはNATOの一員でもあるトルコと直接対決するのを恐れて、旧ソ連式の武器を少量提供するなどアルメニアの支援にかなり消極的だった。結果としてアゼルバイジャン軍が大勝することとなった。

 停戦合意の条件に、ロシアがアゼルバイジャンに軍隊を派遣して平和維持活動を行うという文言が、ロシアの強い主張で盛り込まれた。この紛争をして武器を売り、自分たちの軍隊をアゼルバイジャンの中にうまく派遣したということで、ロシアの動きはかなり狡猾。

「沿道にすごい数の地雷があり『道から絶対に外れるな』と」 ナゴルノカラバフ紛争、記者が見た現地の今

 紛争に介入して自分たちの利益になるように、というのがロシアの外交政策の大きな柱だが、最近はトルコがライバルとして台頭してきている。ロシアとトルコの代理戦争のような形で、それぞれが支援する勢力が第3国で戦争するというのが、シリアとこのナゴルノカラバフでは続いている。トルコはNATOの加盟国なので、トルコとロシアの全面対決、ひいてはNATOとロシアとの戦争に発展することを懸念している。

 アゼルバイジャン側が勝利を収めた勢いで、アルメニアの領土内に侵入しているということが言われている。アルメニアの兵士1人が亡くなったというのも、アゼルバイジャン側が攻めてきた時だと。ナゴルノカラバフにもまだアルメニア人は残っているので、一気に攻勢をかけることも懸念されている。

ABEMA NEWSより)

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