11日、参院本会議で改正国民投票法が成立した。この改正で通常の選挙と同様、駅や商業施設に共通投票所が導入されるなど、国民がより投票しやすくなるとみられている。
今国会で審議が進み、憲法改正の議論を進める第一歩になった国民投票法の改正案。今後、改憲の動きに変化はあるのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、憲法学者とともに考えた。
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2018年6月、投票における利便性の向上などを目的に改正案が提出されて以降、8回の国会を経て、ようやく成立に至った国民投票法。これまでなかなか議論が進まなかったが、今回成立に至ったのはなぜなのだろうか。
慶應義塾大学名誉教授で憲法学者の小林節氏は「手続きを作っても本番の憲法改正国民投票で自民党が勝てる自信がなかったのでは」と見解を示す。その上で「逆に野党側も投票に持ち込まれたら宣伝費の問題も含めて勝てる自信がなかった。どちらも自信がなかったから、手続きをフライングした安倍さんに因縁をつけて、野党が(改正案を)寝かせていたのだと思う」と、与野党にとって落とし所が見えたことで、今回の国民投票法の改正成立につながったと語った。
憲法改正にはプロセスがあり、成立した改正国民投票法は、そのプロセスの最後にあたる国民投票の手続きを定めるもの。ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「憲法と法律を日本の人はごっちゃにしている」と指摘。
「『法律と憲法はたいして変わらない』とイメージしている人が多い。“憲法”は政府を規制するための“法律”。政府や国会が作った“法律”は、一般国民を縛るものだ。政府を縛るために“憲法”は大切だが、なぜか憲法を自民党が変えたいように変えようとしている。それでは政府に首ひもがつけられない。なぜかそれが理解されていない」
位置付けとして最上位に君臨する憲法。ひろゆき氏は「実際のところ、本当に憲法を変えなければできないことってあまりない」と述べる。
「例えば、同性婚は今の法律内でもできるのに『先に憲法を変えよう』といった流れになっている。改憲が目的なので『同性婚をしたいのであれば、憲法を変えなくてはいけない』という話ではない。同性婚は憲法を変えなくても認められるべきもので、憲法を変える目的のために利用されている感じがする」
ひろゆき氏の見解に小林氏は「大事なことだ」と同意。「夫婦別姓や同性婚などは全部法の下の平等で全部説明がつく」と話す。
「なのに自民党は2012年の草案に『国旗を敬おう』『国防に国民は協力しよう』などと書いている。国民に憲法を道徳だと思わせることで、がんじがらめにして、憲法を変えないと国民を管理できないと思っている。これに、国民のみなさんは気づかない。ぜひ草案を読んでほしい。LGBTの同性婚など、新しい価値観は今の憲法ですべて認めることができるものだ」
続けて小林氏は「結局、憲法は最高峰だが、後ろ盾のないただの紙切れの最高峰だ」とコメント。「政府にけじめをつけさせるためには、最高裁や国民がしっかりしないといけない。あるいは政権交代して、憲法を謀(たばか)らない人が権力者になるべきだ」と語った。
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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