アボカドが自然破壊の遠因に?「人気が高まることで、むしろ環境負荷が減らせる可能性もある」
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 栄養が豊富で、様々な食材に合わせすいと人気の「アボカド」。日本では99%を輸入に頼っており、その量は右肩上りだ。

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 ところが収穫までに必要な水は収穫量1キロあたり約2000リットルと、トマトの10倍という試算もあり、地域によっては農園周辺で生活用水不足が発生しているという。さらに果実が土壌の養分を吸い上げてしまうために土地が痩せたり、農地を広げるための森林伐採により野生動物が生息地域を追われたりしていることもあるのだという。

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 EXITのりんたろー。は「肌にも髪にも良い。何よりヘルシーな感じで“映える”ので、インスタに写真を上げると見てくれる人たちに対して“マウンティング”が取れる。でも、これからは叩かれてしまうのではないか…」と懸念する。

 ヴィーガンで、「本当はアボカドが大好物だ」と話す古着ショップ『DEPT』代表のeriさんは、環境面への配慮からアボカドを買わない選択をした。

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 「バナナなど、よく買っている食材の多くが海外から輸入されていることに気がついた。カーボンフットプリント、つまり輸入に関わるCO2排出量が高いものはできるだけ避けるようにしている。アボカドについても、生産過程における水の使用量はもちろん、お金になるということもあって、農家さんの人権や命に関わる問題も出てきていると知り、買うのはやめることにした。

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 アボカドに限らず、私たち消費者は無意識に買ったり食べたり飲んだりするのが普通になっているが、これだけ環境問題が注目される時代なので、いかに取捨選択していくかが問われるようになると思う。“買い物は投票だ”と言われるように、日用品でも化粧品でも、買った物が社会とどう接続しているのか、支払ったお金が誰のところに行くのかを考えなければならないと思う。

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 こういう議論を通して、みんなが、“アボガドは環境負荷が高いんだ”と思うだけでも、すごく大きなことだと思っている。そういう風に意識がちょっとずつ変わっていくことが大切だ。そこから、SNSにアップしながらもちょっと心が痛んだり、月に2回食べていたのを月に1回にしようということにも繋がっていくと思う」。

■「人気が高まることで、CO2のことを気にせず安心して手に入れられる可能性も」

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 一方、世界最大のアボカド生産国であるメキシコで製品加工に携わっている“アボカド兄さん”こと川井篤士氏は「アボカドが水を大量に必要とする作物であることは事実だが、全世界で植えられていることもあり、地域によっても事情は異なる」と話す。

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 「我々の場合、メキシコ中西部ミチョアカン州の山奥の農園で栽培・加工を行っているが、ここは世界的に見ても降雨量の多い地域で、近隣の河川にも水が流れている状態が保たれている。年間を通じて土壌は潤っているので、人工的に水を撒くということはない。一方、問題視されているチリは乾燥地帯で干ばつが起きやすく、山間部の崖沿いを切り開いたところに植えていくので、生活用水や農業用の用水にも影響が出てくる。

 また、どうしても悪い事業者や違反事例の方がSNSなどではフォーカスされやすいということもあり、やはり水不足のところでわざわざ栽培をしているチリの事業者に非難が集まってしまう。ただ、ペルーも含め、真面目に環境を考えながら農産をやっている事業者にとっては、自分とは無縁のところで起きている話だということだ。

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 確かに闇農家というものも存在してはいるが、政府の認定を受けた業者の中には農協のようなものを作ってみんなで稼いでいこう、フェアトレード、オーガニックのコミュニティを作って成長していこうという動きもある。メキシコの地方は貧しく、特に山奥の地域は治安も悪いが、アボカドに関わっている人たちは笑顔だ。少なくとも僕が回ったところはハッピーに仕事をしていて、生活水準も上がってきているという実感がある」。

 その上で川井氏は「3年ほど前から中国でも食べられるようになってきていて、世界的にも需要が増え、単価も上昇傾向で高止まりが続いている。5、6年くらい前まではメキシコからはほとんど輸出はされていなかったものが、爆発的に伸び続けている。それに伴い、元々はメキシコ周辺が原産の果物だったのに、今や世界70カ国くらいで栽培されている。特にアフリカ大陸のサハラ砂漠以南、あるいはチュニジアなどの地中海側寄りの地域からは、毎月のように“栽培を始めました”という連絡が来る。

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 このようにして世界で栽培が始まれば遠くから空輸する必要がなくなり、結果的にCO2の削減にもつながるということも考えられる。また、海運での輸送技術も進歩して、低温状態で貯蔵する技術も出来てきた。むしろアボカド人気が高まることで、皆さんがCO2のことを気にせず安心して手に入れられる可能性が期待できるということだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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