1ラウンド終了のゴングとともに、流れるような連打から強烈なボディショットが炸裂。あまりのダメージに敗者は苦悶の表情を浮かべながら後ろに倒れ、その上半身はロープの外へ…。会場にはうめき声が響き、しばらく立ち上がることができずに担架でリングを後にする衝撃的なKOシーンだった。
6月25日に後楽園ホールで開催された「Krush.126」。國枝悠太(二刃会)と鷹大(WSRフェアテックス西川口)の試合は、1ラウンド終了3分00秒ジャストで國枝が放った右のボディを被弾した鷹大がリング外に飛び出して悶絶、試合続行不可能に…。ゴングとほぼ同時となった異例のKO判定を巡って審判団が協議を行い、國枝のKO勝利が認められる結果となった。
激戦区Krushフェザー級の層の厚さを象徴する対戦。“さすらいのアウトロー”のニックネームをもつ國枝は、10代で一度はボクシングから離れて不良の道へ。その後24歳でキックボクシングに目覚めると、4年の年月を費やして着実に力をつけてきた。Krushには今年から参戦し、初戦こそ判定で敗れたが、3月の林京平戦では鮮烈なKO勝ちを収めるなど注目度は上がっている。対戦相手の鷹大はムエタイ仕込みの高い技術が特徴で3月の「K’FESTA.4 」で玖村修平と激戦を演じた実力者だ。
ともにパンチに自信がある同士。國枝がワンツー、さらに伸びのある右を放てば、鷹大のローを散らしつつ踏み込んで放つ左フックは脅威だ。至近距離で右ストレートと左フックが当たるバチバチの攻防。徐々に國枝が独特の間合いからボディ、右ストレートを当てプレッシャーをかけはじめる。
1ラウンド残り30秒。カウンターの乱打戦から、鷹大のボディがヒットするも、國枝は“効いていない”と両手を広げてアピール。鷹大が追い打ちのボディを打ち込む場面も。残り10秒の合図と共に前に出た鷹大が左フックを放ち、”鷹大優勢“のままラウンド終了か…誰もがそう思った次の瞬間、思いもよらぬ決着を迎えることに。
一気に距離を詰めて伸ばした國枝の右ストレートが鷹大のテンプルを直撃。さらに左からワンツー、右ボディと同時にゴングが打ち鳴らされたが、ラウンド終盤で怒涛の連打を貰った鷹大はダメージが大きく、右のボディを被弾すると苦悶の表情を浮かべながら後ろに倒れ、ロープの外に飛び出して倒れこんだ。
リング内に戻されたものの、会場には悶絶する鷹大のうめき声が響く。予想外の出来事に解説席も困惑して「ラウンド終了後ですからダウンにはならない?」と話すと「これはダウン」「いや、ゴングの後だから反則じゃないか?」など視聴者の意見も二分。ラウンドガールがリング中央で2ラウンド開始を告げるカードを掲げるなか、鷹大は動けずにコーナー脇でうずくまったままという状況が続いた。
ABEMAで解説を務めた石川直生が「当たったのはボディの音です。下腹部ではないと思います。顔面が効いたところでボディだったので…」と残り0秒で起こった出来事の状況を整理する。鷹大に駆け寄ったドクターの中から「もう無理です」という声が聞こえると、試合終了のゴングが打ち鳴らされた。
協議を重ねた審判団からは「國枝選手の放った攻撃がほぼゴングと同時。メインレフェリーの判断は1ラウンド内の有効な攻撃という判断になりました」とアナウンス。これをもって正式に1ラウンド3分00秒、國枝のKO勝利が告げられた。