6月26日にプロレスリング・ノアの無観客TVマッチが行われ、GHCタッグ王者同士による遺恨清算試合、中嶋勝彦vsマサ北宮の敗者髪切り金網デスマッチは両者大流血の死闘となった。
5.31後楽園でのモハメドヨネ&谷口周平とのGHCタッグ王座戦の試合中、中嶋の強烈なハイキックが北宮に誤爆。北宮の封印していた怒りの導火線に火がついてしまい、試合後、中嶋をサイトースープレックスで投げ捨て、仲間割れ。北宮はパートナーである中嶋に三下り半を突きつけるとともに、所属していたユニット金剛との決別も宣言した。
両者はもともと健介オフィスの兄弟弟子という間柄だったが、北宮が「新弟子の頃から、俺はてめえのことが大っ嫌いなんだよ!」と言うように、近すぎた関係だけにその因縁は根深く、今回、敗者髪切り金網デスマッチという究極の試合形式で決着をつけることとなった。
ルールは3カウントフォール、KO、ギブアップのみで勝負が決まる完全決着ルール。金剛のリーダー、拳王が立会人として見守る中、中嶋と北宮は、それぞれGHCタッグのベルトを片手に入場。無言で睨み合うと、無観客で静寂のアリーナは緊張感に包まれる。
最初にペースを握ったのは中嶋。得意の蹴りでダメージを与えると、不適な笑みを浮かべながら、北宮の顔面を何度も金網に叩きつける。北宮もサモアンドロップから、ラリアット、セントーンで反撃を試みるも単発で終わり、逆に蹴りで人間サンドバック状態にされてしまう。そしてグロッギーの北宮に対して、中嶋は金網最上段に登ってのスーパー・ミサイルキック!
これが見事にヒットするが、3メートルの高さからのダイブにより中嶋にもダメージが。北宮はこの機を逃さず、中嶋の蹴り脚をキャッチすると、4.29名古屋でのGHCヘビー級タイトル戦で武藤にやられたドラゴンスクリュー! これでヒザを痛めた中嶋に対し、ニークラッシャーから監獄固め。その体勢から、武藤の額もかち割った強烈なヘッドバッドを叩き込み、中嶋を流血に追い込んだ。
勝負と見た北宮は、パイルドライバーで中嶋をダウンさせると、金網最上段からセントーンで急降下! しかし、これは中嶋に避けられ自爆。
大ダメージを負った北宮に、中嶋はヘッドバットを叩き込み流血させると、切り札のヴァーティカルスパイク!(垂直落下式ブレーンバスター)。これはカウント2。中嶋はさらにもう一発ヴァーティカルスパイクにいくが、北宮がサイトースープレックスで切り返し、両者ダブルノックダウン。
なんとか立ち上がると、ここからは蹴りとエルボーを打ち合う意地の張り合い。この打撃戦を制したのは、やはり中嶋。ハイキックで北宮をダウンさせると、土手っ腹に強烈なサッカーボールキックを2発叩き込み、さらに顔面を蹴り上げ、踏みつけ、勝利を確信したかのようにアピール。
そしてトドメのヴァーティカルスパイクにいこうとするが、北宮はこれをDDTで切り返しさらにラリアットでなぎ倒すと、雄叫びを上げながらサイトースープレックス。中島はなんとかカウント2で返すが、さらにもう一発、サイトースープレックスを食ってしまい、ついにカウント3! 32分4秒の激闘はマサ北宮が制した。
試合後、精魂尽きた両者はマットに大の字。北宮が倒れながら拳を突き上げ勝利をアピールすると、立会人の拳王が中嶋に肩を貸し、リング中央の椅子に座らせる。すると北宮も立ち上がり、腕を組んで座る中嶋の髪の毛をハサミとバリカンで切り落とし、その切った髪の毛を突き上げ、勝利の雄叫びを上げた。
遺恨清算マッチはこれにて決着したが、両者に握手はなく、それぞれ無言で引き上げるのみ。北宮と中嶋の深すぎる溝は、髪の毛を賭けた死闘でも埋まることはなく、因縁はさらに続くことになりそうだ。
文/堀江ガンツ