その独特なワードセンスは、妻に勝るとも劣らないものだった。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Dリーグ第3試合、チーム永瀬とチーム広瀬の対戦が6月26日に放送されたが、この試合の解説を務めたのが千葉幸生七段(42)。妻の千葉涼子女流四段(41)も、Cリーグ第2試合で聞き手を務めたが、この時の涼子女流四段の言葉選びがファンの間では話題になっていた。ところが幸生七段も「玉の堅さは三ツ星レストラン」「銀冠LOVER」など、聞き慣れない言葉を連発。熱戦を見守っていたファンの爆笑を引き起こしていた。
千葉七段は、2000年10月に四段昇段。プロ入り直後は振り飛車党だったが、2007年ごろから居飛車党に転向。また2003年に結婚。現在では夫婦で、将棋の世界で戦い続けている。このABEMAトーナメントでは、先に妻が出演を果たし「うわぉー!なんて激しい人!」、「静かな湖面」、「靴下まで炎に包まれた」など、おおよそ将棋の対局番組では登場しない言葉を連打したが、夫としても負けてはいられない(?)のか、数々のワードを残していった。
第1局こそ、無難にこなしていた千葉七段だが、第2局に入ってから舌の回転数が上がってきたのか、予想外の解説が出始めた。屋敷伸之九段(49)の穴熊に対して使った言葉が「玉の堅さは三ツ星レストラン」。確かに強固な囲いだが、これを食事に例えるのが斬新だ。第3局では、広瀬章人八段(34)に攻め込まれた屋敷九段が、咄嗟の飛車引きで守った際には「おっと、その子がいましたか」と、飛車を「その子」呼ばわり。さらに第5局で、増田康宏六段(23)が得意の銀冠を採用した際には「増田さんは銀冠穴熊の本を出されたことがあって。銀冠LOVERという感じ」と、恋愛ソングのような例えを持ち出した。
完全に仕上がった千葉七段の話術は、さらに加速する。複雑な局面を目の当たりにすると「複雑、複雑、複雑(福崎)文吾先生ですね」と、ついにはダジャレも使い始め、さらには「シュビン、シュビビン」「べちゃ金、べちゃ銀」「安心二重丸」「来ました、ズンドコ、ズンドコ」と新手のオンパレードとなった。
対局者でさえもし聞こえていれば、思わず吹き出していただろう言葉の数々だけに、視聴者が笑いをこらえられるはずもなく「表現のしかたよ」「さすがの言葉選び」「千葉さん解説キレッキレやなw」と、この日の放送の主役級の大活躍といったコメントが多く見られていた。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)







