コロナ禍で厳しい状況が続く飲食店。そんな中、働く場を失っていたシェフを雇い、本格的な料理を提供するレストランがオープンする。
香港で特級料理人の資格を持つ麦永謙さん(54)。11年前に来日し、神奈川の中華料理店で総料理長を務めるなどしていた。しかし去年8月、新型コロナの影響で職を失った。
カモを扱う慣れた手つき。麦さんは3月から「蓮記」の厨房に立っている。180度に熱した特注の窯の中で40分間。1羽のカモが一皿の料理に生まれ変わった。腕前に目をつけたのは店を経営する社長だった。麦さんを雇えば質の高い本格料理を提供できると考えたのだ。
「蓮記」のマネージャー・塩野茉奈さんは「コロナでたくさん店がクローズになって、職人さんが職を失ってしまって。この時期だからこそ新しい出会いもあると思うので、会社の社長と麦さんが出会って」と話す。
黄明心さん(56)は香港の点心師という資格を持っているが、2月に失業してしまった。新天地の厨房で作ったのは「腸粉」と呼ばれる香港点心。よく見ると具のエビがはみ出している。実はこれ、穴のたくさん開いた特注の大きな四角い蒸し器で、具の入った米粉の生地を蒸して提供する直前にカットしたものだ。
「この時期だからこそ、海外に行けない方がたくさんいらっしゃると思うので、本来は香港に行かないと食べられない味をここで皆さんに提供できるようになりましたので、ぜひ食べてもらいたいなと思います」と塩野さん。麦さんは「コロナに負けませんよ、頑張ります」、黄さんも「本格の点心を食べて下さい」と意気込みを新たにした。
コロナから立ち上がったシェフが腕を振るレストラン「蓮記」は7月1日に開店する。
(ABEMA/『ABEMA Morning』より)