これぞ対局者ならではのエピソードだ。将棋の村山慈明七段(37)が藤井聡太王位・棋聖(18)と対戦した際、かすかに聞こえる独り言について「て、て、て、しか聞こえない」と、聞こえはするものの意味がわからないという出来事を紹介した。
村山七段は、プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」にチーム斎藤のメンバーとして参加。リーダー斎藤慎太郎八段(28)、都成竜馬七段(31)と3人で大会に向けて結束を高めるために動画収録に臨んでいた。
ゲームをしながら、テーマに沿ってトークを展開する企画だったが「将棋界あるある」について村山七段が紹介したのが、この藤井王位・棋聖の独り言だった。棋士の中でも、ため息をついたり独り言を言ったりと、様々なタイプがいる。藤井王位・棋聖については、集中が高まると前後に揺れながら、盤面に頭の部分がかぶさるほど前傾が深くなることで知られている。また、扇子をくるくると回すのもよく見られる仕草だ。過去2度対戦経験がある村山七段によれば「独り言を結構言ってますね。面と向かっていないとなかなかそこまで聞き取れないような小さな言葉」というボリュームのようで、「何か言っているんですけど、読みを入れながら『て、て、て』って、『て』しか聞こえないんですよ」と、詳細を説明した。
予想としては「たぶん『飛車取って、金取って』とか頭の中で言っているのかもしれないですけど、その『て』しか聞こえない」と、最後の部分だけが漏れ聞こえるのが有力のようだ。
「もっといろいろ何か聞こえれば読み筋がわかるのに」と笑う村山七段だが、うっかり読み筋を明かしてしまっては水の泡。藤井王位・棋聖が、この独り言についてどこまで認識しているか定かではないが、「AI超えの手」「神の手」を指す前に、独り言で聞こえてきたら、むしろ対戦相手の方が緊張してしまうかもしれない。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)