プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Eリーグ第1試合、チーム斎藤とエントリーチームの対戦が7月3日に放送され、チーム斎藤がスコア5-2で白星スタートを切った。リーダー斎藤慎太郎八段(28)が2勝1敗、村山慈明七段(37)が2勝、都成竜馬七段(31)が1勝1敗と、全員が勝ち星を挙げる理想的な勝利。将棋界のイケメン三人衆が持ち味を十分に出し、予選突破に大きく前進した。
チーム斎藤は、斎藤八段がドラフト会議で1巡目、2巡目ともに抽選くじを外した上で、指名をやり直して構成されたチーム。それでも「個人として素晴らしく満足がいく編成になりました。当初予定していたチームの1つだったので安堵しました」と自信を見せていたが、この結果が出るのであればその言葉も納得だ。
対局直前まで先手・後手がわからず作戦が立てにくいからと、第1局を買って出た斎藤八段が梶浦宏孝七段(25)に敗れる波乱のスタートにはなったが、リーダーの心遣いはチームメイトにしっかりと伝わった。第2局に登場した都成七段は、勢いに乗る梶浦七段に対して四間飛車、さらには向かい飛車を用いてじりじりとした待機策に。膠着状態を打開しようと梶浦七段が攻めてきたところ、一時は押され気味になったものの巧みなカウンター攻撃を決めて160手で勝利。早々にリーダーの黒星を帳消しにした。
続く第3、4局は村山七段が躍動した。フィッシャールール初挑戦ながら準備に怠りはなく、第3局で藤森哲也五段(34)の四間飛車穴熊も対策十分。「研究した形。自分の序盤の研究がうまく出せた」と穴熊崩しに成功し、143手で勝利。続く第4局では、早見え早指しに定評がある相手のリーダー小林裕士七段(44)に対して、後手番から一手損角換わりを選択。アグレッシブな戦いで混戦に持ち込むと、最終盤では両チームの棋士たちが、詰むや詰まざるやで混乱するほどの激戦を制した。
ここまで仲間に頑張ってもらっては、穏やかなリーダー斎藤八段も燃えないわけがない。第5局で藤森五段の強固な四間飛車穴熊に手こずりながらも、「持ち味にしたい」と語る粘りで終盤に逆転。チームとして4勝目を挙げ勝利に王手をかけると、この日3局目となる第7局では玉砕覚悟で突っ込んでくる小林七段の攻めに冷静に対処。79手の短手数で勝利を収め、チームの勝利を決めた。
エントリーチームは、ドラフト指名から漏れたながらも、全員が予選で5連勝してきた早指し得意の3人が集まった強敵。そのチームに5-2で勝ち切るのだから、チーム斎藤の力は確実なものだ。勝敗はドラフトの結果で決まるわけではない。対局に臨む棋士それぞれの思いや努力がチームの勝利を呼んでくる。爽やかな笑顔を見せたイケメン三人衆、今大会のダークホースと呼んでいい。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)