「入りたい部活」1位は帰宅部 「場所も人もお金も足りてないのに…」令和に“部活動”は必要か
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 2021年の「入りたい部活動ランキング」にある変化が起きた。10代に人気のスマホアプリ『Simeji』の調査によると、3位にバレーボール部、2位にダンス部、そして1位は、なんと帰宅部だった。

【映像】「入りたい部活動ランキング」1位は“帰宅部”(アンケート結果)

 10代からは「放課後は家に帰ってYouTubeを観たい」「塾もあるし部活に時間を取られたくない」といった意見もあり、何かと忙しい今の10代には、部活の優先度は低い様子。そんな学生の気持ちとは裏腹に、3割以上の中学校が部活に必ず入らなければならない“部活強制”のルールが存在する。

 学校において、学業とあわせて部活動などのスポーツを両立する意味で使われる“文武両道”。帰りたい生徒、悩む先生、部活をしてほしい学校……多様性が叫ばれる今、令和に文武両道は本当に必要なのだろうか。

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 部活事情に詳しい名古屋大学の内田良准教授は「今は『とにかく部活はいいもので、やるべきだ』といった考え方が先にある」と話す。その上で「部活動をやってもやらなくてもいい趣味のような活動として用意しているか、授業として用意するのか。そこに強制性が出てきて、やっかいな問題になっている」と見解を語った。

 学習指導要領を見ると「部活動の定義」には、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものと記載されている。この言葉だけを見ると、むしろ部活動の強制ルールが学習指導要領から外れてしまっていないだろうか。

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 2012年から2020年まで都立日比谷高校統括校長を務め、現在は私立白梅学園高等学校の武内彰校長は「意義があるとしたら、やはり部活の効用を期待して強制しているのだと思う」と言及。「やはり部活は生徒の自主的な参加が望ましいと考えている。強制はそぐわない」と述べた。

「やっぱり部活動は人間形成だと思う。『全国大会を目指さなきゃいけない』などの一つの方向性ではなく、その子が何か共通の目標に向かって、仲間と一緒に取り組んでいく。その中で最後まで諦めず、周りと共同して物事をやっていく人間性を育む場として、重要なのではないかと考えている。もちろん帰宅部であったとしても、何かもう一つ自分でやりたいものがあれば、それでいいと思う」

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 武内氏が「日比谷高校では、多くの生徒が部活に参加していて、学校行事も活発だ。それと共に学習も両立しながら取り組んでいく生徒が多い」と日比谷高校における部活参加率の高さを紹介すると、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者・ひろゆき氏は「日比谷高校に行くような生徒は元々やる気があって優秀なのではないか。だから、文武両道が当たり前にできるよねという話ではないか」と指摘。

 ひろゆき氏の質問に、武内氏は「そういう部分ももちろんあると思う。しかし、日比谷高校と異なる学力層が集まっていても、部活の加入率が高い学校は存在する。一概に『日比谷高校だから』とは言えないと思う」と答えた。

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 また、近年教育業界で懸念されているのが、部活動に関わる先生の仕事が、ボランティアのような形になってしまう“ブラック部活”だ。現状について、内田氏は「場所も人もお金も、とにかくリソースが足りていない。『もう指導できない』と思っている先生もいる」とコメント。

 “ブラック部活”の問題に、ひろゆき氏は「なぜ部活の顧問を先生がやらないといけないのだろうか」と疑問を投げかける。

「アメリカなどでは、地域のおじさんやおばさん、コーチなどに多少のお金を払って指導してもらっている。先生がやらなくてはいけないルール自体が間違っている」

 ひろゆきの意見に内田氏も「だから今、そこを変えていかなくてはいけないと思う」と同意する。

「先生だけが部活動の指導をやっていること自体が、あらゆる負担を生み出している。あるいは、学校の中だけでやっているから場所がなくて、廊下を走るといった安全性が担保できない指導になってしまう。なんとかダウンサイジングしながら、子ども、先生、指導者もゆとりをもってやれる形にするべき」

 その上で、内田氏は新しいルールの必要性を提言する。

「やりたい人が安全にケガせず、しっかりやれるような仕組み作りが大切だ。試合などで過熱しすぎてケガにつながる前に、ある程度、上限を設けながらもやりたい人がやりたいように活動できる仕組みを作ることが大事だ。『みんなが部活動をやっているから自分もやる』みたいな形で、引きずられてしまう子どもたちもいる。もう少し自由度を高める部活動、やりたい人が本当に満足できる部活動を作っていくのがより良い道だ」

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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