11日、試験飛行へと飛び立った宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船「スペースシップ2」。創業者のリチャード・ブランソン氏自ら宇宙船に搭乗し、高度85キロすぎで数分間の無重力を体験した。
宇宙船の中から「地球の子供たちの皆さん。私もかつては夢のある子供で、星を見上げていました。そして今、私は素晴らしい大人たちと一緒に宇宙船にいて美しい、美しい地球を眺めています」と呼びかけたブランソン氏。スペースシップ2は飛行機のような形をしていて、宇宙に向かう際は母船と共に飛び上がり、途中で切り離された後、機体に搭載したロケットエンジンで上空へと向かう。
到達した高度85キロは、地球の周回軌道には乗らない地球と宇宙のまさに境界。このように一度高く飛び上がり、放物線を描くように地上に戻る飛行方式は「サブオービタル飛行」と呼ばれている。20日、ジェフ・ベゾス氏が搭乗するブルーオリジンの宇宙船でも、同じ飛行方式が採択されている。
誰もが宇宙旅行を体験できる時代に――。夢のある話だが、期待されているのは宇宙旅行だけではない。宇宙空間を活用した大きなビジネスの可能性を秘めているのが、サブオービタル飛行による「二地点間高速輸送」だ。大気による抵抗や摩擦を受けないため、人やモノをとてつもない速さで運ぶことができると期待されている。
ロケットを活用した都市間移動はイーロン・マスク氏率いるスペースXも構想を発表。スペースXによると「世界中のあらゆる場所の移動を1時間以内に可能にする」という。たとえば、飛行機では5時間以上かかるロサンゼルスからニューヨークのアメリカ大陸横断はなんと約25分。今は飛行機で行っている輸送の一部が宇宙輸送に代替されると、文部科学省の試算では、日本発着ベースでも2040年には年間5.2兆円の市場規模になる可能性があるという。各社しのぎを削る技術競争の先には、大きなビジネスの可能性が眠っている。
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