「自分の子宮を娘に」“子宮移植”は希望の光になるか 現役医師が語る課題
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 日本医学会による検討委員会は14日、これまで国内では実施されていなかった子宮移植を「条件付きで認める」とする報告書をまとめた。当事者に危険性を十分に説明することや、自由な意思にもとづいた移植実施を条件にしている。

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 選択肢が増えることへの希望。先天的に子宮と膣の全部、もしくは一部がない状態で生まれてくる疾患「ロキタンスキー症候群」の娘を持つ母親も「一歩前進した」と語る。

「まだ私の娘にパートナーはいませんが、実感としてはピンとは来ていないですね。ただ、選択肢が増えることは娘も『すごくいいよね』と話していました」(ロキタンスキー症候群の娘をもつ母親)

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 子宮移植の判断は娘とパートナーに委ねるとしているが、本人が望めば、母親である自分の子宮を提供することも厭(いと)わないと話す。

「自分の子供ですし、子供が望むことを応援することが、親の役目だと思っています。ちゃんとした身体と言ったら変ですが、自分のせいでそういうふうに産めなかったのかなと……。負い目じゃないですが、娘にしてあげられることが、一つでもあるならうれしいです。リスクを承知で、本当に娘が望めば、私はそこに賭けたいなと思います」

■ 「生体ドナーは大きな負担になる」慶應義塾大学・木須伊織医師が語る“最終目標”

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 日本医学会の容認で大きく進展した、子宮移植への道。2009年から子宮移植に関する研究を行ってきた慶應義塾大学・木須伊織医師は「子宮を持たない女性が待ち望んでいた知らせだ」と話す。

「海外では2014年に初めて子宮移植後の出産が報告されました。その報告を機に、海外では非常に(子宮移植が)広まっていて、これまでも約85例以上の移植が行われました。子供も40例以上が出産に至っている。『海外で子宮移植ができて、なぜ日本でできないのか』という声も非常に多くありました。国内でも子宮移植が受けられる選択肢を作るべきだと思っていました」

 木須医師によると、子宮移植は手術後の拒絶反応への対応のほか、移植した子宮が妊娠出産に耐えられるかなど、さまざまな課題を抱えているという。

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「臓器移植は、基本的には亡くなられた方から臓器を移植していただくというのが原則です。亡くなられた方から提供できる臓器が日本の法律で定められています。しかし、子宮移植の場合は法律の対象になっていないので、亡くなられた方からの提供は行えません」

 本来は亡くなられた人から子宮の提供を受ける流れにしたいが、日本ではそれができない。木須医師は「やむなく生体ドナーから子宮提供いただき、臨床研究を行って有効性と安全性を確認していきたい」と話す。

「生体ドナーは健常な方にメスをいれることになります。大きな負担を強いることになりますので、やはり最終的には、亡くなられた方からのドナー提供を目標にしたいです。それができる体制づくりを考えていきたいと思っております」 

(『ABEMAヒルズ』より)

【映像】子宮移植「条件付きで認める」日本でも実施へ
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