東京都が確認した新型コロナの新規感染者は、14日から18日の5日連続で1000人を超えた。五輪開催が間近に迫る中、東京の感染状況は第3波があった今年1月に逆戻りしていると言わざるを得ない。
【映像】広島訪問のバッハ会長、コロナには一言も触れず(スピーチ内容)※5分20秒ごろ~
17日には、組織委員会が大会に関わる国内外の関係者など、あわせて15人の新型コロナウイルス感染を発表。うち1人は東京・晴海の選手村で初の新型コロナの陽性患者となった。また、翌18日にも選手村で海外選手2人の新型コロナウイルス感染が確認された。
ニュース番組『ABEMA Prime』に動画出演した愛知医科大学病院の医師、後藤礼司氏は、65歳以上のワクチン接種が「かなり進んできている」とした上で「今度は30代から50代が感染者の中心になるだろう」と述べる。
「コロナは数の病気だ。致死率が例え数%でも、患者数が増えると重症化しやすい。もし第5波が来たら、重症患者数や死者数が変わってくる可能性もある。重症患者や死者が増えにくくなった状況で、感染者数は多いといった状況にもなりうる。数を見ながら、注視して行動しなければならないときに、こういうイベント(東京五輪)が出てきている。それが、今の状況だ」
政府や組織委員会は、海外から来た選手や大会関係者を一般市民と接触させないよう「バブル方式」を採用。菅総理も「選手や大会関係者は、一般国民と交わらない」と強調してきた。しかし、来日した大会関係者が自由に外出している目撃情報や、大阪府泉佐野市で事前合宿していたウガンダの選手の所在が分からなくなるなど、トラブルが続出。安全安心のオリンピック開催を目指すはずが、なぜこのような事態が起きてしまったのだろうか。後藤氏は、今回のバブル方式について「最初から穴だらけだ」と話す。
「なぜ『バブル方式』を取ったのかというと、やはり選手村でも感染者を出したくなかったからだ。今回のオリンピックで『余計な混乱を生みたくない』と考えた人たちの意見を採用しているのに、開催国の一般市民にクラスター感染が発生しても『そっちのリスクは無視でいく』というやり方になってくると『話が違うじゃないか』と思う。例えば、今学校のクラスター感染はかなり警戒されているが、観客として学校の子どもたちを入れようといった案もあった。もちろん、一生に一度しかないかもしれない国内オリンピックで、僕もオリンピック自体はすごく大事だと思っている。だが、一貫性のなさにはやはり違和感を覚える」
「元々、このバブル方式は1年前のNBA(北米男子プロバスケットボールリーグ)ファイナルで採用されたもの。NBAはフロリダのディズニーワールドを貸し切って、いわゆる感染のない状況を作って、定義をしっかり示した上で競技を安全に行った。選手や関係者の出入りもかなり制限されて、入国時点で2週間近い隔離と頻回の検査を受けないといけなかった。本来はこれが正解だ。とても緻密な計画のもとにやっていて、2週間前からNBAの選手たちは隔離されていた。それにも関わらず、東京五輪の選手村のバブルは弾けている。最初から穴だらけだ」
後藤氏の説明に、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「バブル方式であれば、感染リスクを減らすために安全な人だけを入れた場所を作るはずだ。『とりあえず、外国から来た人はこの中に入ってください』としたら、感染者のバブルじゃないか。何を作りたいのか、全然わからない」と本音を語る。
また、14日に官邸で行われた菅総理とIOCバッハ会長との面会時に「感染状況が改善したら観客を入れることも考えてほしい」と、バッハ会長から“要望”があったことも報道されている。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身会長はこの報道を否定したが、被爆地訪問で平和公園を訪れたバッハ会長に「ゴー・アウト・バッハ!」といった抗議の声が飛ぶなど、市民の反応は冷ややかだ。東京都のモニタリング会議でも「オリンピック後の8月12日には、1日の感染者が2400人を越えるだろう」といった試算も出ている。
歯止めがかからない感染に、後藤氏は「選手村で新型コロナのクラスター感染が発生する可能性もある」と危惧する。
「本来のバブル方式は、定義を決めて、徹底した管理のもとで濃厚接触者を作らないから、競技が安全に行える。今だと競技も安全に行えない。検査もずさん、濃厚接触者の定義もずさん、ずさんな管理の中に入っていって、そこで逆隔離をされる。下手すると、選手村でクラスター感染が発生する可能性もありえる」
(『ABEMA Prime』より)
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