「この度は、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への私の参加につきまして、多くの方々を大変不快なお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます」
【映像】「排泄物を食べさせた」小山田が取材で語った“いじめ自慢”の一部内容(7分ごろ~~)
16日に謝罪文を発表したミュージシャンの小山田圭吾。過去に雑誌などで、いじめの行為を告白していた小山田が、東京オリンピック開会式の作曲家の1人として参加が発表されると、その情報が拡散され「作曲担当にはふさわしくない」とネットで炎上した。
謝ったからといって、いじめの被害者が負った傷は、そう簡単に消えるわけではない。しかし、一方で、過去に犯したあやまちの責任は、いつまで負い続ければいいのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、障害福祉サービス事業所の職員研修を行う株式会社Lean on Me代表・志村駿介氏をゲストに迎えて議論した。
■ 告白された過去の“障害者いじめ” 「直接謝罪したい」に被害者はどう思うか
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「小山田圭吾さんがこの話で炎上するのは3回目ぐらいで『2ちゃんねる』があった頃から出ていた話だ」とコメント。その上で「これは組織委員会の問題」と指摘する。
「小山田圭吾さんをネットでググると、ウィキペディアに過去が書いてある。まずはクリエイターとしてお願いする前に『パラリンピックをやるのに障害者をいじめていた人はまずいでしょう』といった意見が、普通は出るはずだ。小山田圭吾さん自身が悪いことをしたのはそうだが、発注をする組織委員会側の問題だと思う」
この騒動について、自身も障害者の弟を持つLean on Me代表・志村氏は「騒動になる前からちゃんとアクションをしてほしかった」と話す。
「ひろゆきさんがおっしゃるように、組織委員会側にチェックの問題もあると思う。発注を受ける側(小山田さん)が過去にインタビューで障害者のいじめを明かしているのであれば、騒動になる前から説明がほしかった。小山田さんが過去にいじめを無自覚にやってしまった。正直、それは誰にでも起き得るあやまちなのかなと思う。ただ、大人になって、それをやった自覚がある状態で、公の場に出るのであれば、しっかり報道で『自分はこう変わった』と伝えていく必要はあるように感じる」
騒動の発端である過去のいじめや、それを告白したインタビュー記事は、時が経っている。小山田の謝罪文には「できれば本人に直接謝罪したい」と書かれていたが、いじめられた側はどのように思うのだろうか。
志村氏は「実はうちの母にもこうした話を相談したことがある」という。
「公園で弟と一緒に滑り台で遊んでいたとき、年上の小学生の団体に弟が滑った後の滑り台を『バイ菌』や『汚い』と言われて、母親は『すごく嫌な気持ちになった』と言っていた。弟は知的障害があるので、何を言われているかわかっていなかった。ニコニコしながら滑っていた弟を見て、母親は泣きながら弟と一緒に帰っていった。被害者には、すごく忘れたい過去になっているだろうし、思い出させてしんどくなることもあると思う」
志村氏の意見を聞いたひろゆき氏は「謝罪文を出した。当事者の人に直接会って、謝罪をしたとしても、バッシング自体は残り続ける。1回でもいじめをやった人は『永遠に表に出てくるべきではない』としてしまうのもどうか」と疑問を投げかける。
志村氏は「当事者に謝罪に行くことは良いと思う」とした上で「何よりも小山田さん自身が、こうした課題、問題に対して、ちゃんと向き合うことが大事だと思う」と回答。
「例えば、当事者の家族の話を聞きに行ったり、障害者施設に見学に行ったり、有識者の方々と意見を交換したり。自分と同じあやまちを犯す人を生み出さないために、直接謝罪する以外にもできるアクションはある」
志村氏の回答に、ひろゆき氏は「それを小山田さんがやったとして、世間的に許されると思うか」と続けて質問。志村氏は「それぞれに許す・許さないのラインがあるので、許さないと決めている人は許せないと思う。でも、今有名になって、音楽の才能にあふれている人が、過去に向き合って、いじめを生まないような行動を何か起こしてくれるなら、印象は変わってくるのでは」と自身の考えを述べた。
いじめを受けた側の傷に“時効”はない。一方で、あやまちに気づいた加害者が許されるチャンスは本当にないのだろうか。東京オリンピック・パラリンピックの開催が直前に迫っている今、試されているのは人間同士の絆なのかもしれない。(『ABEMA Prime』より)
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