期待通りの1回戦だった。好カードが並んだRISEのビッグマッチ、7月18日の大阪大会で特に注目されていたのは、53kg級のトーナメント。
ハイレベルな選手がしのぎを削るこの階級、その中でもトップ選手ばかりが集った。加えて、那須川天心が“強敵認定”する志朗が55kgから落としてきた。那須川も参加メンバーを聞いて興奮、そのクオリティに太鼓判を押すほどの陣容だ。
メインイベントでは、ムエタイで数々の実績を残してきた石井一成を、RISE王者の大崎一貴が下した。両者はこれまで3度対戦し、大崎の1敗2分。念願の打倒・石井を大舞台で果たしたことになる。
大崎は1ラウンドからプレッシャーをかけてパンチ。本戦は初出場の石井に対し、王者らしく“RISEの闘い”を見せたと言っていいだろう。2ラウンドには打ち合いの中で左フックをヒット、ダウンを奪う。石井も終盤まで激しく打ち合い、実力者ぶりを発揮したが、判定3-0で大崎が勝利した。
敗れた石井も「悔しいけど(組み合わせ抽選会で)大崎選手を選んでよかった」とツイートする充実の内容。また那須川も石井のツイートに「価値ある敗北だ!! また出て欲しい 頼む!!」とエールを送っている。
セミファイナルでは優勝候補と言える志朗が滉大を延長戦で振り切った。この試合もスピーディかつ技巧を凝らした対決だったが、延長では志朗が鮮やかなワンツーでダウンを奪っている。滉大の実力もあり、53kgではまだ本領発揮とはいかなかった志朗。だが9月のファイナルにはきっちり仕上げてくるはずだ。
セミ、メインとも強豪同士の対決であり、なおかつダウンが判定の決め手となった。軽量級はスピードが魅力とよく言われるが、このトーナメントに関しては“倒す”闘いで魅力できる選手が揃っているのが大きい。マニアも初心者も、誰が見ても凄いと思えるのだ。
那須川と同じTEAM TEPPENの風音は、格上の江幡睦に延長判定2-1で勝利。大番狂わせに涙を見せると、圧倒的不利の下馬評に対して「見たかボケ!」と叫んでみせた。
政所仁と田丸辰はライバル対決と言える顔合わせ。タイトルマッチで闘ったこともある。またどちらも大崎に敗れており、このトーナメントは捲土重来を期しての参戦だ。この試合も接戦ながら、政所がダウンを奪って勝利。“決定力”のある選手が勝ち上がった形だ。
そしてもちろん、準決勝・決勝では全員がギアをさらに上げてくる。優勝した選手は、文句なしにこの階級の最強と言えるだろう。この1回戦を機に、53kgは新たな“黄金の階級”として多くのファンに認知されたに違いない。