日本食ブームの後押しで海外での消費が拡大している日本酒。海外で高評価を得たために、原酒不足にまで陥ったジャパニーズウイスキー。ここ10年の輸出額を見てみると、日本酒とウイスキーの輸出額は右肩上がりになっている。

【映像】焼酎の“色規制”とは

 一方で、低迷を続けているのが焼酎。芋・麦・米など様々な種類があり、ロックや水割りのほか、酎ハイのベースとしても用いられるなど、日本ではとてもポピュラーなお酒だ。

 そんな焼酎がなぜ海外進出において出遅れているのか。焼酎専門のウェブマガジン「SHOCHU NEXT」編集部の阿久根佐和子氏は、焼酎の「色」に1つの要因があると話す。

 「焼酎は蒸留酒なので、戦っていくのはウイスキー、ラム、ブランデーなど。海外だとやっぱり、熟成といえば色がついているのが当然。どうしても高級感がそがれてしまうというのはあると思う」

 ウイスキーのような熟成による高級感のある色は価格を高める大切なポイントに。透明の印象が強い焼酎も、実は熟成によって違った面白さが出てくるという。

 「すっごくまろやかになる。アルコールの分子が水に包まれているのが、最初とげとげしているのがどんどん細かくなってまるくなっていく。樽熟成に関しては、樽の香りと原料の香り、特性の出会いでまた違う風味が出てくるのが魅力かなと思う」

 インタビュー中の阿久根氏の前に並んでいるのが、熟成された焼酎だ。ほんのり色づいたものから、ウイスキーのような色の濃さのものまである。

 「熊本県の豊永酒造さんの『奥球磨』。米焼酎をシェリー樽で7年間寝かせているが、結構いい色になる。この色をこのまま出したいという思いから、焼酎としての『0.08』はとうに超えてしまうので、エキスを2%以上加えてリキュールとして発売する」

 阿久根氏が説明の中で口にした「0.08」という数字。これは光の透過具合=色の濃さを示すもので、この数字を超える色の濃い焼酎はそのまま販売できない。そのため、活性炭で色を抜いて基準内に収めたり、味や香りに影響のない食物繊維を加え、リキュールとして販売するなどの対応がとられているのだ。

 この“色規制”は国税庁の通達によるもので、1961年に始まった。ウイスキーのような色の場合、消費者に誤認を与える可能性があることと、当時高級酒として税率が高かったウイスキーと区別をするために基準が必要だったという。1967年に現在の基準が定められ、焼酎はウイスキーの10分の1程度の色の濃さまでと決まっている。

 阿久根氏が取材した熟成焼酎の蔵の中には、「色が付きづらい樽を使って寝かせ、規制ぎりぎりのところで引き上げる」「樽熟成とホーロータンクで寝かせた透明な焼酎を混ぜて色を規制以下に抑える」などの工夫をして、この規制を守る工夫をしているところもあったという。

 『ABEMAヒルズ』の問い合わせに対し、「業界内で意見がまとめられれば撤廃の議論も考える」と国税庁はしているが、蔵元の中には「伝統的に焼酎は透明」などの意見もあるということだ。業界の中でも色々な立場があり、阿久根氏も「見守るしかない状況」だと話す。

 「税制の話が大きくて。今でも度数が37度以下だと、ウイスキーとか洋酒に比べて焼酎の税率が低い。かつ、生産量が少ない・中規模以下だと、軽減措置もあって税金が少し安くなる。今の状態で一生懸命やっている小さめの蔵に関しては、色規制の撤廃によって、優遇がもしなくなってしまったらすごく負担が大きくなるのは確かだ。それがどうしても嫌だというのはひとつわかる意見ではある。どれが正しいとも言えないが、ただ焼酎が今国内にせよ海外にせよ苦労している中で、未来を切り開いていく。長い目で見た時に『本当はどうすればいいのか』と考えたほうがいいかとは思う」

 焼酎の色規制について、BuzzFeed Japan News副編集長の神庭亮介氏は「昔からの非合理的な規制にこだわって、国税庁は頭が堅いなと最初は思ってしまったが、よくよく聞くと国税庁も『岩盤規制ではない』『変えたいならどうぞ』というスタンス。では誰がこの規制を望んでいのるか? 中小の蔵にとっては優遇措置がなくなるのは死活問題で、色規制によって守られている面もある。一方で、高級路線でガンガン輸出したい人からすると、混ぜ物をしないといけないとか、色を抜かないといけないとか、規制がハードルになっている面もあるのかもしれない。焼酎業界全体としてどういう未来を目指すのか意思統一し、まとまっていく必要があるのではないか」と指摘。

 「税制には公平の原則と中立の原則が求められる。色規制をなくした場合、ウイスキー業界の人は『色が同じならこっちも安くして』と思うだろう。公平・中立を考えると、税の枠組みだけでこの問題を処理するのは限界がある。補助金で中小の蔵を下支えするなど、税以外の枠組みも検討していく必要があるのではないか」との見方を示した。

(『ABEMAヒルズ』より)

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