過去最多を連続更新した新型コロナウイルスの新規感染者数。政府は神奈川、埼玉、千葉の首都圏3県と大阪府に対し緊急事態宣言の発出と、東京、沖縄の期間延長の方針を固めた。
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現場で患者の対応にあたってきた愛知医科大学病院循環器内科助教の後藤礼司医師は「東京都の1日の新規感染者数も、おそらく5000人程度は行くのではないかと予測されていると思う。高齢者のワクチン接種が進んでいるので重症化率のところではまだチャンスがあるかもしれないし、波を慎重に見ていく必要があるのではないかと思うが、やはり“数の病気”である以上、いい傾向ではない」と話す。
東京都の福祉保健局は27日、「(メディアは)いたずらに不安を煽らないようにしていただければ。重症化率は極めて低い。医療に対する圧迫は、数字上とは若干違うかなという印象を持っている」として、前回のピーク時とは状況が変化していることを指摘。一方、都医師会の猪口正孝副会長は29日のモニタリング会議の席上、「入院患者数や重症患者数に余力があるように見えるが、これは決してそういうことではない」と警鐘を鳴らしている。
後藤医師は「ワクチン接種が進み、重症者数が少なくなってくれば経済活動も再開ができるようになるので、重症化率の部分を見たいという意見もあると思うが、慌ててデータの解釈をして、安易に言葉に出しすぎるのは問題だ。未接種の方々の間で感染が拡大すれば病床は逼迫してしまうし、入院先が隔離病棟でなければ、他の人へも感染を広げてしまう可能性がある。さらに偽陽性でも隔離されることがあるので、感染リスクの高いところで2週間近くベッドを埋めるということにもなる。仮に致死率が1%だとすると、感染者が1人であれば死ぬ可能性は極めて低いが、感染者が100人出れば1人は亡くなるわけだし、感染者が100万人、1000万人…にとなれば、それに連れて死亡者数も増えていくわけだ。重症化の指標を見るのももちろん大事だが、やはり新規感染者数も大事だ」と指摘。
また、「“確保病床の使用率”という数字がよく出てくるが、重症の人を診るための箱は確保されていても、スタッフ全員が人工呼吸器を扱えるわけではないなど、マンパワーやハードによって、実態としての病床数は少なくなる。そういう中で使用率を見ても、医療機関には雲泥の差があるということだ。特に東京は重症の人を診るための箱の数はすごく多い。それでも大学病院などICUをたくさん持っているようなところの先生方が“苦しい”“厳しい”と言っているということは、確実にそういう状況にあるということだと思う。夏場には重度の熱中症の方々もやってくるし、医療を回すための余裕、そして感染者数が増えてくる1週間、2週間後というタイムラグも踏まえた上で、ICUの占有率を見ていかないと、これから先に重症化した方々にとっては悲劇になってしまう」と懸念を示した。
さらに繁華街などの人出について菅総理は27日、「車の制限だとかテレワーク、そしてまさに皆さんのおかげさまによって人流は減少している」とコメント。加藤官房長官も「ここ1、2週間、夜の滞留人口を見るかぎりは、減ってきているというのは明らかではないだろうか」と話しているが、実態を正しく反映していないのではないかとの声は後をたたない。
後藤医師は「20代や働き盛りの30代の感染が多いのは今までも変わらないし、行動変容がメッセージとして届いていないということもあると思う。“緊急だ”というのを一体何回出すんだ、“ここが山だ”と言うが、一体何回山が続いているのか、ということだろう。それでも有病率が数%なので残りの人たちにはわからないが、罹った人たちは“やっぱりこの病気大変だった。罹らなきゃよかった”と言っている。やはり感染しないに越したことはないし、飲食店からの異議も多く、時短・休業要請には応じないということになってきているので、ここは個々人が自分の行動を見直す。結局、個人レベルではしっかり手洗いをし、消毒をし、狭いところではマスクを付けるということを、慌てず騒がず繰り返しなさいということだ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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