勝った選手が「自分でもビックリしてます」という展開だった。7月28日のRISE後楽園ホール大会。メインイベントで行われたフェザー級タイトルマッチは、1ラウンド1分43秒でKOという短期決着になった。
チャンピオン・工藤政英はこれが初防衛戦。タイトル獲得から3年が経過しており、その間に満足のいく試合がなかなかできていなかった。対するチャレンジャーは竹内将生。本人も言うようにテクニックが持ち味の選手だ。RISEのタイトルマッチは5ラウンド制ということもあり、長丁場の“削り合い”が予想された。
しかし試合が始まると、竹内が速攻。開始早々に右ストレートでダウンを奪う。この展開に「熱くなってしまった」と竹内。「このラウンドで倒そう」と気持ちが前のめりになったところに、工藤のカウンターが待っていた。
竹内が前に出てきたところを迎撃、あるいは打ち合いの中で冷静にカウンター。続け様に3度ダウンを奪い返しての逆転KOだ。つまり103秒で両者合わせて4度のダウンという壮絶さ。
工藤がダウンを奪ったのはすべて右のパンチ。「右クロスはブロックを固めながら冷静に狙ってました」と言う。先にダウンを奪われながらも冷静さを失わなかったのもチャンピオンとしての強さだろう。逆に竹内は「工藤選手の我慢強さに負けました」。
フルラウンド使って倒せればと考えていたという工藤。1ラウンドの劇的決着は「竹内選手の覚悟があってのこと」と挑戦者を称えた。
また工藤は「ようやく初防衛できました」とホッとした表情も。“無風”と言われたフェザー級を活性化し、外国人選手が来日できるようになれば対世界の闘いも再開する。自身とベルトの価値をさらに高めるための闘いは、初防衛で勢いのついたここから、さらに本格化していくことになる。
文/橋本宗洋