「進路を選べる友達がうらやましかった…」母親と同じ宗教を強制された元“2世”の訴え
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「やっぱりずっと後ろから、宗教について回られているような感じがして」

 宗教に悩まされた過去について語る詩人のIidabii(イーダビー)さん。子供の頃、宗教が理由で、学校の行事などで制限されることが多かったという。

【映像】「今日あなたに呪いをかけます」Iidabiiさんが米ニューヨークで活動する様子(5分30秒ごろ~)

「できない活動がすごくたくさんあった。運動会で応援合戦ってあるじゃないですか。自分は参加できないので、みんなが校庭の内側に集まっている中、誰もいない児童席で一人ぽつんと待っていて。それが本当に嫌でした。家々をピンポン押して雑誌とか渡すような活動を『伝道活動』や『奉仕活動』というのですが、それを友達の家とかにしに行かなきゃいけないときがあって。その子の家の親が出てくる場合もあれば、その子自身が出てくる場合もありました」

 元「宗教2世」で、子供時代は母親が信仰する宗教を同じように強いられたIidabiiさん。林間学校の一部イベントにも不参加を経験した。また、家庭では宗教の教えに反する行動をすると、母親にムチで叩かれることもあったという。

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 「宗教を信仰しないと自分はダメなんだ」と刷り込まれたIidabiiさんだったが、進路の選択を迫られた中学3年生の頃、積もりに積もった思いが爆発。

「その宗教は『必要最低限の学歴しか必要ない』と、進学を推奨しない宗教だったんです。結局、大学進学はさせないと言われて。部活もやめたりして、中学1年生から3年生の秋くらいまで、すごくまじめに(宗教活動を)やり続けていました。でも、本心ではやっぱり自由に進路を選択できる友達がうらやましかったんです。これ以上は隠せないと思って、爆発したような感じで喧嘩というか口論になって。『もう(宗教活動に)行きたくないんだ』『ずっと嫌だった』と伝えました」

 「あれは虐待だった」と当時を振り返るIidabiiさん。宗教問題に詳しい、立正大学心理学部の西田教授は、宗教と親子の関係について「近年になって実情が表に出てくるようになった」と話す。

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「(宗教2世の)大きな問題は婚姻です。ある程度の年齢になると、当然ながら結婚という問題、あるいは恋愛という問題を抱えます。それが思想上のルールによって許されない、信者同士、あるいは信者の中でも親あるいは組織が認めるような人でなければならないと非常に限定されてしまう場合がある。みなさんが思っている以上に周りにそういう人がいて、その人たちは息をひそめて声を出さずに暮らしてきたんです」

 宗教の自由は、憲法の三大原理の一つである「基本的人権の尊重」に含まれる。その上で、“宗教2世”が抱える問題に西田氏は「人生を応援する姿勢を持ってもらいたい」と語る。

「そのためにまず関心を持ち、知識を持つ必要があります。カルトと宗教の違いは何なのか。そういった内容も含めて、私たちは人権について理解を深めておくことが大事です」

 前述のIidabiiさんは思いを母親にぶつけたものの、理解されることはなく、親子としての関係はそこで終わってしまったという。ただ、そんな経験をした自分だからこそ、何か伝えられることがあるのではないか。現在、詩人として活動する中で、今まさに苦しんでいる当事者の子供たちに向けてメッセージ作品を制作した。

【選択肢が無いと思ってる君へ】

日本は信教の自由がある。

信仰に生きるか、それ以外の道か。

誰にも強制はできない。

君には自分の思う通りに発言する権利がある。行動する権利がある。

そして生きる権利があるんだ。

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 Iidabiiさんは「本気でその宗教を信じているなら、それは絶対に否定されるべきではない」とした上で最後に、こう訴える。

「あなたが本心で信仰しているのであれば、それは守ってほしい。でも、もし少しでも他の道にいきたいとか、自分の好きなものがあるだとか、自分の行ってみたい道があるならば、それは自分の気持ちを絶対に大切にしてほしいです。親とか宗教の人たちが『それはダメだ』といっても何とかして自分の道を探す。自分自身に対して嘘をついてほしくない。あなたの選ぶ道は宗教の道だけではない、本当にいろいろな道があって、あなたの選びたいように生きなきゃいけない」 (『ABEMAヒルズ』より)

※本記事では宗教を通じて生じた親子問題を取り上げていますが、特定の団体や個人、宗教の自由を否定する意図はありません。

【映像】母親と同じ宗教を強制された元“2世”の苦労とは
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