東京都世田谷区を走行していた小田急線の車内で乗客10人が刃物で切られるなどして重軽傷を負った事件で、対馬悠介容疑者(36歳)が殺人未遂容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、車内の防犯カメラには、女性に切りかかる様子が映っていたという。周囲の乗客はスマートフォンを見るなどしていて、対馬容疑者が刃物を取り出して女性を切り付けるまで気付かなかった。対馬容疑者は「電車はみんなが油断しているので、大量に人を殺せると思った」などと供述している。
このニュースに『ABEMAヒルズ』に出演した臨床心理士で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏は、被害者の心のケアや補償に言及。
「被害者は、事件の恐怖でしばらく電車に乗れなくなったり、電車の実物や映像を見るだけでも恐怖を感じたり、もしかしたら一生電車に乗れなくなる“後遺症”に悩まされる可能性も十分にある。また、一般的には、いわゆるトラウマの症状として眠れないなどの過覚醒や、被害を受けた場面が突然意図せず鮮明に思い出されるフラッシュバック、さらには感情の麻痺なども想定され、被害者の人生に多大に障害を及ぼすことも考えられる。被害に遭った人の心のキズを軽視せず、年単位で長期的に経過を見守り、心身両面からサポートしていく必要がある」(藤井靖氏)
その上で、藤井氏は過去の犯罪被害の経験から電車に乗れなくなった相談者のケースを紹介。「ある方は電車に乗れなくなって、職場に通えなくなった。だから、引っ越しをした上で、自費で自宅から会社までタクシーを使っている。加害者と背格好が似ている人が物理的に近くにいる状況や人混み、さらには他の公共交通機関にも強い恐怖心があり、それが数年続いている」と明かし、「心のケアだけではなく、それに伴う経済的な負担も考慮し、本人だけに負担を強いる状況を改善する仕組みを考えていく必要がある。現状の犯罪被害に関わる給付金等の制度だけでは不十分だ」と訴えた。 (『ABEMAヒルズ』より)


