かねてから予告されていたプロレスリング・ノアの「シン・大発表」は、「2022年1月1日、日本武道館大会開催」であることが明らかになった。ノアは今年2月12日、約11年ぶりに日本武道館大会を行ったが、今回は日本プロレス界初となる元日のビッグマッチ。この特別な大会の意味を現GHCヘビー級王者で、株式会社サイバーファイト副社長でもある丸藤正道に語ってもらった。
― 2022年の元日に武道館大会を行うと聞いた時、率直にどう思いましたか?
丸藤 純粋に「すごいな!」って思いましたね。やっぱり、日本武道館大会を元日という特別な日に開催するというのは、選手だけの力だけじゃどうにもならない部分があり、周りの人たちが一生懸命動いてくれた中で生まれたものですからね。
― 日本武道館をそんな日程で、なかなか押さえられるもんじゃないですからね。
丸藤 だから武道館大会を元日に行えることの意味を、選手個人個人がしっかり考えるというか、肝に命じなきゃいけないですね。これがどんなに恵まれてることなのか、ちゃんと理解した上で1・1武道館大会当日を迎えないと。すべての人に失礼になるんじゃないかと思います。
― 丸藤選手自身、元日の武道館大会は、今年の2・12武道館大会とは違った意味合いで受け取っていますか?
丸藤 そうですね。2・12の時は、「やっと再び武道館でやれるようになりました」というご祝儀的な意味合いもあったと思うんですよ。でも今回は、ちょっと大きなことを言わせてもらえば、再び「日本武道館=ノア」というイメージを定着させていく、ひとつのきっかけにしなきゃいけないですからね。
― 元日の武道館大会を今回一度きりで終わらせるのではなく、恒例にしたい思いもありますか?
丸藤 それはもちろんあります。たとえば、新日本プロレスの1・4東京ドーム大会というのは、もう20年以上続いていて、毎年、お正月にドーム大会を観ることをファンが楽しみにしているじゃないですか。興行会社、プロレス団体には、そういったものが必要だと思うし。元日の日本武道館大会というのは、そういった意味でも、お客さんに印象付けるのには最高の日時と場所だと思うので、そこはぜひとも定着させたいですね。
― 元日の武道館大会は、その新日本プロレス1・4東京ドーム大会との“興行戦争”という見方もされるかと思いますが、そのあたりはどう考えていますか?
丸藤 新日本プロレスの東京ドーム大会だけじゃなく、年末年始は他のプロレス団体のいろんな興行が行われると思うんですよ。そうなると競争心にも火がついて、「他には負けたくない」「やってやろう」という思いに自然となると思うので、プロレス界全体にとっていい効果があると思いますね。
― 競争原理が働けば、各団体よりよいカードを投入するでしょうしね。
丸藤 カードに関しても、こういうビッグイベントなら海外から大物選手を呼んだりもしたいんですけど、コロナ禍でのビザ発行の問題なんかもあって、なかなか難しいじゃないですか。だからこそ、今のノアに必要なのは、レスラー個人個人のランク、クオリティを上げていくことだと思うんですよ。来年の1月1日までの数カ月間、各レスラーがそれをしっかりと意識して、お客さんがワクワクするようなものを提供できるように、しっかりと考えていかなきゃいけないですね。
― 選手たちそれぞれが、1・1武道館の期待値を上げていかなきゃいけない、と。
丸藤 いつも言ってますけど、ノアは長い間つらい思いをしてきた中で、今ようやく明るい未来が見え始めてきたところ。このきっかけを逃したら、もうチャンスはないんじゃないですか。そのつもりでトップのレスラーも若手も練習生も全員一丸となって、来年の元日を迎えたいですね。
― 前回、2・12武道館では、丸藤選手は秋山準選手と組んで、若い清宮海斗選手、稲村愛輝選手に胸を貸しましたけど。今度の元日決戦では、GHCヘビー級王者として武道館のメインを飾りたい思いは当然ありますか?
丸藤 勝って武道館の最後を飾りたいですね。武道館のメインで僕が勝ち名乗りを上げたのは、2006年に秋山さんに勝って初めてGHCのベルトを獲った時、あれ一回かぎりなんですよ。
― 武道館でメインを張ったことは他にもあるけど、メインで勝ち名乗りを受けたのは、その時だけなんですね。
丸藤 もう一度、あの景色を僕自身も見たいんですよ。だから元日の武道館大会のメインイベントに出て勝つ。そして明るい1年の始まりにしたいですね。
取材・文/堀江ガンツ