プロレスリング・ノアが苦しい時代から「日本武道館大会開催」を目標に掲げ、公言してきた金剛のリーダー拳王。それは今年2月12日、ついにかなったが、今度は来年の元日という特別な日、再び武道館大会が決定。“夢の続き”が実現することに対して、今の率直な思いを語ってもらった。
― ノアの「シン・大発表」として2021年元日の日本武道館大会が発表されましたけど、率直にどう思いましたか?
拳王 これはまさに俺のための大会だと思ったよな。俺はもともと「元日=俺の日」だと思っていたから。なんでだかわかるか?
― なんでしょう?
拳王 1月1日は俺の誕生日だからな。俺は前々から「ノアの武道館大会を開く」という目標を掲げてきて、それが今年の2月12日に実現して、そこから1年も経たずに自分の誕生日にまた武道館大会ができることになった。それは2月の武道館大会を観たファンのクソヤローどもからの満足度が高かったという声が大きかったし、「またやってほしい」という声もノアや俺のところにも届いていた。1月1日の武道館というのは、だからこそ実現したものだろうから、そういう意味では、ファンのクソヤローどもが俺に最高の誕生日プレゼントをくれたのかなって思ってるよ。
― また、元日に武道館大会を開催するというのは、対外的なインパクトもすごく大きいですよね?
拳王 大晦日は格闘技の日として定着したけど、元日のビッグマッチというのは、プロレス界でもこれまでなかったことだからインパクトがあるし、世間にも届く話だと思う。2022年、しょっぱなからすごい仕掛けをしてきたなと思うよな。
でも、本当に新年からいいスタートを切るためには、大会を絶対に成功させなきゃいけないし。成功させるのは当たり前で、この元日の武道館をきっかけに、ノアがもっと大きくなっていくようなインパクトを残さなきゃいけないと思ってるよ。
― 1月1日に武道館大会を開催するとなると、毎年恒例の新日本プロレスの1・4東京ドーム大会とも日程が近いですが、意識はしますか?
拳王 いや、俺たちが1・4東京ドームを「意識する」という言葉が言えるのは、のちのちの話だう。まずは来年1月1日の武道館を成功させて、また翌年1月1日に武道館ができて毎年恒例の大会として定着させられたとき、初めて言えることだと思う。「絶対に向こうよりいいものを見せる」と意識してやっていくのはいいことだとは思うけど、まだそれを口にできる権利は俺たちにはない。まずは、とにかく来年1月1日の武道館を最高のものにするだけだよな。
― なるほど。他と比べるのではなく、自分たちの最高のものを見せるという姿勢はブレていないわけですね。
拳王 当日、武道館に足を運ぶということは、わざわざ元日に出かけてくれるわけだからな。家族との時間なんかもあって、自分だけ外出するのが難しい人もいるだろう。俺なんか子供の頃、1月1日が誕生日だから、誕生会も当日は開いてもらえなかった苦い思いをしているからな(笑)。でも、1月1日は全国民がいちばん休みが多い日だから、会場に来られなかったら配信で観てほしい。
― おそらく生配信もされるでしょうからね。
拳王 だからこれから元日は、ニューイヤー駅伝を見てから、ノアの武道館を見るのが恒例になってほしいよな(笑)。
― 元日の武道館大会は、もちろん自分が主役という思いもありますか?
拳王 いつでも自分が主役とは思っているけど、1月1日の武道館ということで、当然いつも以上にそういう気持ちはわいてくる。来月始まるN1 VICTORYで優勝すれば、10・10エディオンアリーナ大阪で、GHCヘビー級のベルトにも挑戦できるからな。やっぱりGHCのベルトを持ってるもんが、武道館のメインだと思ってるんで。N1は落とすことはできないし、優勝して大阪でGHCを獲ることを、いまはいちばんに考えている。
― N1、10・10大阪、そして元日の武道館と、すべてはつながっているわけですね。
拳王 そして来年の1月1日は、最高の37歳のバースデーにするよ。ノアは数年前まで、最高のベルトであるGHCのタイトルマッチを後楽園でやっていた団体だった。それが「俺の夢、おまえらの夢は武道館だろ?」と言い続けて、ようやく今年の2月武道館に到達した。でも、それは本当の到達点じゃない。ノアは年に4~5回武道館でやってた時代があるんだから、夢を叶えたあとは、もう次の夢が出てきている。来年1月1日の武道館は、その大きな第一歩だと思っているから、ファンのクソヤローどもが「来年も1月1日に武道館で観たい」と絶対に言わせる大会にしてみせる。だから、俺についてこい!
取材・文/堀江ガンツ