9月に発足するデジタル庁の事務方トップとなる「デジタル監」の人事を巡って政府は18日、元米マサチューセッツ工科大メディアラボ所長の伊藤穰一氏の起用を見送る方針を固めた。
【映像】東京オリパラアプリ「OCHA」“38億円”の価値は本当にあったのか? (アプリの中身)※2分ごろ~
伊藤氏の過去の資金提供元をめぐる問題が影響したとみられるが、このタイミングでの起用見送りに不安の声も上がっている。
ニュース番組『ABEMA Prime』に出演した平井卓也デジタル改革担当大臣は「私を取材していない報道、私に当たってない報道がどんどん出ていて非常に困っている」とコメント。
「デジタル監は法律で決められた特別職。そのポジションに当たっての人選は、正直私もいろいろな方と議論をした。『どんな人がいいか?』『あなただったら(デジタル監を)やりますか?』のようなインタビューは、コロナ禍なのでオンラインで会って、相当検討した。デジタル監は、非常に制約の多いポジションで、会社で働いていたら辞めなければいけない。利益相反のような部分もあり、株式売買もできなくなる。まさにボランティアで国のために自分のスキルを全部出して、日本国を救うようなポジション。こういうポジションは、なり手がなかなかいないことがわかった。インタビューする中で『この人がいいな』という方はたくさんいたが、デジタル監は『今のポジション(会社)がなかったら引き受けたい』と答える方が多かった」
デジタル監の人事に、多くの時間と労力を費やしたという平井大臣。なり手はなかなか見つからないものの、「皆さん『協力したい』という気持ちは持っていて、それは非常にありがたかった」と感謝を述べた。
■ 清廉潔白を求めすぎ? 副業・兼業、株式売買も禁止 制約が多い “デジタル監”ポジション
デジタル庁の“司令塔”となるデジタル監。平井大臣の説明を聞いたひろゆき氏は「日本は清廉潔白で有能な人を求めがちだ。しかし、残念ながら国の予算で出せる給料で、清廉潔白かつ優秀な人が来るはずない。この事実をみんなわかっていない」と話す。
「伊藤穰一さんを外したら、もっと清廉潔白で経歴がきれいでメチャクチャ優秀な人が来ると思い込んでいる人がいっぱいいるみたいだが、そんな人は日本にいない。性格が悪かったり、クセがあったり、そういう人たちの中でシステムを作る能力がある人は誰なのか。そうやって選ばないと結局、ちゃんとしたシステムが作れない。日本政府は『お金があるからいくらでもやればいい、国の税金だし』という考えもあるかもしれない。でも、僕は最初の1年だけはガチでちゃんとシステムがわかる人を採用して、きちんと設計した方がいいと思っている」
また、兼業や副業が禁止で、今のポジションを辞める必要があるデジタル監に、ひろゆき氏は「ある程度、優秀なシステムの管理や制作できる人で(現時点で)無職の人がいるわけない。兼業がNGなら無能しか選べない」と苦言。
「だいたい優秀な人はどこかの会社で社員のうちに子会社(の重要な役職)をやって、株を持って役員になっている。当たり前に会社取引も発生しているから、優秀な人が抜けて、デジタル監になってくれる現実は、まずないと思う。だから『全然、今あいてます!』という無能しか選べない。無能から選んだら絶対失敗する。『他の仕事を辞めて来てくれ』と言わないで、デジタル監を副業で頼むくらいの方が、まだ優秀な人が来てくれると思う」
デジタル庁の発足に際し、エンジニア等も民間から募集している。“副業OK”にするといったひろゆき氏の提案に平井大臣は「(エンジニア等は)今回は非常勤、兼業OKにしていて、トップエンジニアの皆さんも多く参加してくれている。これはとてもありがたい。給料が下がっても参加してくれる人も何人かいた。兼業や副業ができないのは、デジタル監のポジションだけ。これは大臣と同じで、現状あらゆる制約がある。私はデジタル監で成果を出した後、本人の希望で民間に戻っていただいてもいいと思っているが、(組織の)設計として制約が多すぎるのかもしれない」と回答。また、最終的にどのような人材が就任するのかについては「現時点では言えない」とコメント。
「全てが明らかになるのは9月1日。勘違いしている方も多いが、私はデジタル改革担当大臣で、要するに法律を出してデジタル庁を作るまで(が仕事)。今の私の立場は8月いっぱいでなくなる。9月になって、総理からデジタル大臣に任命されるとデジタル庁の大臣になり、国務大臣という立場は残るが、今やっている仕事はなくなる」
デジタル監なしでデジタル庁をスタートさせることはあり得るのだろうか。平井氏は「9月1日に全て明らかになる」と、改めて9月初日の発表を強調。「私は準備をする立場で、菅総理が指名しない限り、デジタル大臣もデジタル監もどうなるかわからない」として「今日のところはこれで許していただきたい」と明言を避けた。 (『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側