今やプロの将棋界において、切り離せない存在になりつつある将棋ソフト(AI)。現時点での最強ソフトであれば、数年前の“当時最強ソフト”に駒落ちでも勝つと言われるほど、その進化スピードは目覚ましいものがある。このソフトに、新たな潮流を起こそうとしているのが「ディープラーニング系」と呼ばれるもの。早くからソフトを取り入れた研究で知られる千田翔太七段(27)によれば、従来のソフトと「いい勝負をしているところで、明確に強くなるのはこれから」という状況だ。
【動画】「将棋日本シリーズ」一回戦第四局 羽生善治九段 対 千田翔太七段
ディープラーニング(深層学習)は、囲碁の「AlphaGo」でもよく知られるようになった。人間には実現不可能な数の対局を繰り返すことによって、AI自身が力をつけていく。初期状態から強化学習を始めても、数日もあれば人間のトップ棋士が相手にならなくなるほどだ。これが将棋界にもいよいよ入り始め、将棋ソフトの研究者の間では従来型とディープラーニング系で、どんな発展をしていくのかが注目されている。
将棋ソフトに詳しい千田七段ではあるが、現在は「様子見」の段階だ。「まだわからないんですよ。どれくらい強くなるのか、急に強くなるのかわかっていないので。次第にディープラーニング系のソフトを活用していくことになるんでしょうが、まだ見通しは立っていないですね」。ソフトを動かすためには、それに応じたパソコンも必要。どのぐらいのスペックを用意すれば、満足するパフォーマンスが得られるのか。また、そのソフト自体が今取り入れるべきものなのか、もう少し様子を見るべきなのか。最先端の研究だけに「いつ切り替えるかのタイミングを見計らっている」状況だ。
最近では渡辺明名人(棋王、王将、37)や、藤井聡太王位・棋聖(19)といったトッププレイヤーが研究に取り入れたということ、急激に将棋界の大きな話題となり始めた感があるディープラーニング系ソフト。近い将来、将棋界の勢力図を変えるほどのものになるのか、それともまだ先か。
(ABEMA/将棋チャンネルより)