Amazonが日本で使う電力を再生可能エネルギーに…カーボンニュートラル達成に向けた好事例に?
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 物流センターやデータセンターなどで使用する電力の全てを2025年までに再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げるAmazonその日本国内分の電力供給についてこのほど、三菱商事傘下の電力小売事業会社から受けることで合意した。今後、首都圏と東北のおよそ450カ所に太陽光発電所を整備。発電容量は一般家庭5600世帯の年間使用量に相当するおよそ2万2000キロワットで、来年から順次稼働する見通しだ。

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■「いよいよ日本にも来たのか」

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 外務省時代には気候変動を担当、現在は『エナジーシフト』統括編集長を務める前田雄大氏は「実は今、世界各地で一番再生可能エネルギーを買っているのがAmazonだ。その動きが、いよいよ日本にも来たのかと受け止めている」と話す。

 「一つには、やはり気候変動が一層進展する中、CO2に対する企業の責任が問われるようになってきた。再生可能エネルギー由来の電力でなければ、積極的にCO2を出しているという格好になってしまうからだ。そして再生可能エネルギーのコストが世界的に急激に安くなってきていることがある。つまり企業がコストを下げる手段にもなっている。もっと言うと、化石燃料には産出国の政情不安などの外部依存性もある。その意味でも、事業ポートフォリオの中での戦略の一つになってきているトレンドがある。

 また、投資の世界においてもESG投資とよばれる分野が非常に伸びてきている。ESGのEは環境(Environment)を指しているが、これが脱炭素と同義になっているので、投融資を受けていこうというときに、脱炭素をやっていないと難しくなってくるという局面も出てきている。例えばAppleは自社で再生可能エネルギーを調達しているだけでなく、部品を納入するサプライヤーに対しても脱炭素を求めるようになっている。この、環境面のメリットと経済面のメリットが組み合わさり、昨今の脱炭素の流れにドライブがかかってきているということだ」。

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 ただ、前田氏によれば日本の再生可能エネルギーの値段は国際比較で高止まりをしている状況があるという。

 「化石燃料のコストよりも安くなってきている国もあって、そういうところからオセロのようにひっくり返っていったというのが2016年ごろからの現象だ。日本の場合、電力システムがしっかりでき上がっていたというところもあり、そこの刷新が起きず、企業にとっても旧来型の方がコストは安いということになり、世界で起きているドライブが入ってこず、意識の面でもそこまで高くならなかった。

 非常に分かりやすい例でいうと、日がメチャクチャ照っている砂漠は太陽光発電に向いているし、土地代も安い。しかし日本は山だらけで土地代も高いというところがあるので元々コストが高くなりやすい。加えて、人件費など、建設業界のコストの高さも相対的に出てくる。そういうものが積み重なった結果、コストが高止まりしているというところもある」。

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 耕作放棄地を利用した太陽光発電所を開発するエネルギーベンチャー「ハミングバード」の村井栄樹代表も、「私もごく自然な流れだというふうに受け止めている。AppleやGoogle、Microsoft、Facebookなども加盟するRE100という世界的なコンソーシアムにAmazonは加盟していなかったが、独自のやり方で目標を設定し、創業者のジェフ・ベゾスが100億ドル規模のベゾス・アースファンドを作り、再エネに向けて取り組んでいた」と話す。

 その上で、「この8年間で太陽光については価格が4分の1と、皆さんが思っている以上に急落しているので、世界的に見ても既存の系統から買うよりも安くなっている。もちろん、太陽光発電だけで日本の全ての電力を賄おうとすると国土面積の2%、だいたい熊本県と同じ面積が必要となる。そう聞くとすごく大きいような気もするが、すでに現段階で太陽光は日本の電力の100%のうちの8.5%を賄っているし、水力や風力などを足していくと再生エネルギーは20%に到達している。かつては水力を除いて1%を行ったり来たりしていた時代もあった。あともう一息、もう少し頑張って我々もいかないといけないなと思っている」と説明した。

■必要とする人がいれば勝手に作られる部分もある

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 日本の再生可能エネルギー政策は今後どうなるのか。小泉環境大臣は「次の政権がどのような政権になっても変わらないのがカーボンニュートラルの方向性だ。これは法的根拠を作ったからだ。どんな政治状況であってもしっかりとそこは遅滞なくやっていきたいと思う。影響ないようにしたいと思う」と述べている。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「2050年カーボンニュートラルという目標があるが、今までかなり化石燃料に頼ってきたが、エネルギー自給率は低く、さらに3.11の後は原発もほとんど停止している。根本から見直さないと日本は達成できないのではないかと思う。私は愛知県出身なので、自動車産業に関わっている知人も多い。日本の根幹を支える企業も多い分、脱ガソリン車とか、本当にいけるのかなと思う」と疑問を呈する。

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 前田氏は「おっしゃる通りで、1カ国だけの取り組みではもうどうしようもない。だからこそ、気候変動問題は国連のおひざ元でずっと議論されてきた。排出量の世界第1位である中国、2位であるアメリカもカーボンニュートラルの目標を掲げているが、気候変動の進展が想像以上に速いので、取り組みのところをどう促進させていくのか。国としては経済成長もしていかなければならないので、その両立が国際社会の課題となっている。

 また、脱炭素の方に移行していくこと自体が、事業リスクがあるとみなされている。日本の場合、たしかに自動車産業が強く、ガソリン車を世界に輸出してきた。一方で、EVなども出てきているし、その市場が伸びればビジネスチャンスも生まれると。だからトヨタさんもEVのバッテリーに1.5兆円を投入、勝負するぞと言っている」。

 村井氏も「やれるかやれないかではなく、やらないといけないというような危機意識を持っている。今まではサステナビリティ=持続可能性という単語があったが、これからはサバイバビリティだと思う。人類が美しい自然や文明を22世紀までいかにして維持して発展させていくかということが問われている。先程も話したとおり、火力や風力のコストは下がってきているし、そこに蓄電池を含めた価格が石炭や石油、原子力に近づいている。蓄電池の部分さえ確保すれば、私は再エネで100%賄えるのではないかと見ている」と力を込めた。

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 重ねて柴田は「レジ袋をやめてエコバッグにしている人も多いし、ストローも物理的にもらえないところも多いので、個人でできることをやっている感は出てきていると思う。それでも、ひとりひとりの心がけで変わるのだろうか」、EXIT兼近大樹は「個人でできることはファッション的な側面も大きいなと感じていて、もっと大きなことに取り組んでいかないといけないんじゃないか、と思う。意識高い国だけ頑張ってていいのかなということも気になる」。

 前田氏は「変わると思う。コツコツ積み上げたものが大きな変化になってくる。私も政府の中にいたが、どうしても国の政策の、どうやって供給するかみたいな話にどうしてもなりがちだが、必要とする人がいれば勝手に作られる部分もある。例えば皆さんひとりひとりが再生可能エネルギー電力プランに切り替えていけば、作る側もそうなってくる。兼近さんの論点は非常に重要で、化石燃料の方が安かった時代は途上国も含めてモクモクとやっていた。しかし土地が余っていれば、太陽光は安いじゃんということになり、途上国でもパネルを敷くようになってきた。つまり、需要があれば供給がある。そのようにして、脱炭素エネルギー比率、再生可能エネルギー比率は上がっていくと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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