夢だった週刊連載に喜びも…漫画家が描いた“心の病気”のリアル 『パニック障害12年生』
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「突然―――感情のない涙が流れた。悲しいことがあったわけでもなければ、うれし涙なわけでもない……(中略)まだ『パニック障害』という名前すら知らなかった。これは、12年間の僕の話―――」

 パニック障害を抱えながら、漫画家として奮闘するクロバさん。Instagramでは、クロバさんが自身の体験をもとに描いた漫画『パニック障害12年生』が大きな反響を呼んでいる。

【映像】「薬を飲むか原稿を書くか…」漫画の中で悩んでいる主人公(3分50秒ごろ~)

 物語の始まりは10年以上も前。連載を夢見る漫画家の卵「クロバ」が、夢にまでみた週刊連載を掴み取る展開から物語はスタートする。

主人公「涙? どうして…体に力がはいらない―――」(漫画『パニック障害12年生』より)

夢だった週刊連載に喜びも…漫画家が描いた“心の病気”のリアル 『パニック障害12年生』
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 今回、ニュース番組「ABEMAヒルズ」では、漫画の主人公であり作者でもあるクロバさんを取材。今の自分に何が描けるか考えたとき、クロバさんの頭にふと浮かんだのが「パニック障害」だったという。

「『今パニック障害で悩んでいる方に届けばいいな』と思って描き始めました。パニック障害になると、自分の心と語り合うことが多いんです。僕の経験がちょっとでも参考になればいいなと思いますし、パニック障害じゃない人にも読んでもらいたい作品です」(クロバさん・以下同)

夢だった週刊連載に喜びも…漫画家が描いた“心の病気”のリアル 『パニック障害12年生』
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 週刊連載への不安やプレッシャーから体調に異変を感じ、すぐに病院へと駆け込んだ“クロバ”。しかし、医師から診断されたのは心の病「パニック障害」だった。そこから、週刊連載とパニック障害、2つの闘いが始まる。

 食事や打ち合わせ、何気ない瞬間に出る病気の症状。漫画では、主人公・クロバが困難と向き合い、アシスタントたちとのコミュニケーションや家族の理解を得ながら、少しずつ病気を克服していく様子が描かれている。

 物語を語るうえで欠かせないのが「パニッくん」と呼ばれるキャラクターだ。パニッくんは、“クロバ”の心の中に現れ、ちょっかいを出してくる。クロバさんは「パニッくん」を用いて「心の病気の大変さを見やすく、分かりやすく描きたかった」と話す。

 周囲の理解もあり、主人公は徐々に病気を克服していく。クロバさんが、特に印象に残っているシーンは「薬を飲むか原稿を書くかで悩んでいるシーン」だという。

「結果として、僕は薬を飲んで、眠いながらも原稿を描こうとするんです。(一般的には)こういう病気は『焦らないで』と言われますが、実際は『こういう病気になって焦らない人なんていないんじゃないかな?』と思っていて。焦らないようにするために、どうすればいいかと考えたら、やっぱり少しずつでも動かなきゃいけない」

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 物語の中盤では、ヨガやセミナーへの参加など、病気克服のために行った実体験が描かれている。クロバさんは「すべてがうまくいったわけではない」とした上で、「人それぞれにあった方法を提示できたら」と話す。

「当時、僕はあがきにあがいていたので、本当に失敗したこともあれば、役に立ったこともあります。日常生活の中で、パニック障害の人と生活する上で起きた出来事を描いていますので、今パニック障害に悩む人のひとつの克服方法として提示できたらいいなと思っています」

 公開後、ネットを中心に読者から反響が集まった漫画『パニック障害12年生』。SNSでは、同じパニック障害に悩んだ過去を持つ人が「みんなにも読んでほしい」とクロバさんの漫画を紹介。そのほか「薬を飲めば治るわけでもないし、自分でコントロールもできない。もっと世の中のみんなが(パニック障害を)知ってくれたら」といった声も寄せられている。

「漫画を読んだから(といって病気が)治るものではないと思うんです。ただ、(同じ病気を抱える人は)読んで共感してくださる。『パニック障害12年生』はパニック障害を知らない人にも気軽に読んでもらいたいんです。分かる人は分かるし、学ぶ人は学ぶ。それが漫画でできたらいいなと思っています」

(『ABEMAヒルズ』より)

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