「“親ガチャ”であきらめないために、富ではなく『運』の再分配ができる制度を」 若新雄純氏
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 コロナ禍で困窮する学生も出てくる中で、学費の“後払い”制度をスクールや大学が導入し、注目が集まっている。

 プログラミングスクールの「CODEGYM ISA」(対象は16~34歳)は、日本初の「出世払い」制度を導入。ISA(所得分配契約)とは、「所得に連動した学費の出世払い」のこと。在学中は学費が発生せず、支払いが始まるのは卒業後、就職して年収が276万円以上になってからとなる。

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 給与の10%を30カ月にわたり後払いで支払うため、総支払額は年収によって変動する。スクール側としては、卒業生の年収が高くなるほど回収額が多くなるものの、年収が276万円に達しなければ貸し倒れのリスクも抱える。そのため、民間のスクールにもかかわらず、受講できるのは選考を通った人に限られており、入学倍率は3.5倍。就職・転職などのキャリア支援も手厚く行っている。

「“親ガチャ”であきらめないために、富ではなく『運』の再分配ができる制度を」 若新雄純氏

 また、関西学院大学は「HECS型」と呼ばれる奨学金を急遽新設した。給与所得者の場合、大学卒業後に年収400万円以上(給与所得者以外は150万円)稼げるようになるまで返済が猶予され、毎月の返済額も借りた人が決められる。

 背景にあるのは、従来型の奨学金では救えない学生の存在だ。問題となるのは「親の収入要件」で、多くの奨学金は親など保証人の収入を基準として支給の可否が決まる。コロナ禍で臨時に設けられた奨学金でも、親や保証人の収入がどれだけ減ったかという証明が必要だった。しかし、3割ほどの学生は、親の収入に関係なく自分で学費や生活費をまかなっているということで、そうした学生は奨学金が受け取れないことになる。

 こうした制度について、若新雄純氏は最近話題になっている「親ガチャ」という言葉を引き合いに、人の人生には「運」があると話す。

 「どんな親から生まれるかというのは、知能指数とかもそのままではないものの、遺伝だったり親の影響を受ける。環境の要因は人間がどういう人生を送っていくかに(影響は)大きいが、僕は人間というものはけっこう運で決まると思っている。運に偏りがないように、完璧に最初からフラットにするのは不可能だ。人間がもともと均質なのであれば、多様性の議論も生まれていない。『うち貧乏だったな』『親が教育熱心じゃなかったな』という時に、諦めなくても済むように制度をつくっていくことが大事だと思う」

 その上で、これまでの自身の人生には「運」があったと振り返る。

 「高額納税者の人で、『俺らはこんなに頑張ってきたのに、なんで俺らのほうが税金納めなきゃいけないんだ』という人がいる。僕も大金持ちではないけど、小金持ちぐらいになって思うのは、ほとんど運だったなと。じゃあこれまで頑張ってこなかったかというと、比較的勉強も仕事もしてきたが、それは常に『自分に可能性がある』と感じられていたから。頑張ってやれば親がお金を出してくれる、大学院まで出られたからこうすれば仕事ができるんじゃないか、と。努力すれば結果も伴うだろうというのは、運の上に成り立っていた気がする。だから、育った環境のせいで運がなかったと諦めすぎすに済むようにするほうがいいだろう。奨学金の制度なども累進課税のように、めちゃくちゃ成功した人は運がよかったのだから、借りた以上に返すぐらいでもいいと思う」

「“親ガチャ”であきらめないために、富ではなく『運』の再分配ができる制度を」 若新雄純氏

 関西学院大学の冨田宏治副学長は、HECS型の奨学金制度の導入によって、所得証明等による年収の確認や月々の支払い額の設定など、膨大な事務作業が発生することを課題にあげている。

 「デジタル庁に頑張ってもらって、マイナンバー制度を整える。いちいち作業しなくても、特定の奨学金を借りるためにはマイナンバーを大学が取得できるようにして、申告してもらわなくてもその人や家族の所得状況がわかるようにして、それに応じて累進制で返金してもらうとか。運悪く大学を出た後にうまく稼げなかったらほとんど返さなくていいし、運良く金持ちになったらそれ以上に返す。生まれた時点で差はあるんだけど、それで諦めないようにする。『富』の再分配というから不満が出るわけで、累進課税は『運』を再分配しているようなものだと思うので、『運』の再分配や再配分みたいなものを上手にすべきだと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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