プレミアリーグで腕を磨いた屈指のセンターバック
2022-2023シーズンからラ・リーガのレアル・マドリーへと移籍し、すでに主力として活躍しているドイツ代表DFのアントニオ・リュディガー。「ランボー」の異名を持つセンターバックは、ドイツ・ベルリン出身の29歳。ドイツ人の父とシエラレオネ人の母の間に生まれ、190㎝85kgと恵まれた体格を武器としたプレーを得意としている。
2011年にシュツットガルトでプロキャリアをスタートさせると、ローマへの移籍を経て、2017年にはプレミアリーグの強豪チェルシーと5年契約を結んだ。1年目からアントニオ・コンテ監督の信頼を掴み、主力として活躍。フランク・ランパード政権下ではポジションを失ったものの、トーマス・トゥへル監督就任後に再び主力へと返り咲いた。チェルシーでは通算203試合に出場し12ゴールをマーク。在籍した5シーズンでFAカップ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、UEFAスーパーカップ、FIFAクラブワールドカップを制覇するなど多くのタイトル獲得に貢献した。
チェルシーでディフェンダーとして確固たる地位を築いたリュディガーは、2022-2023シーズンからスペインの名門レアル・マドリードへ移籍。4年契約で背番号はチェルシー時代と同じ2番を求めたが、すでにスペイン代表DFダニエル・カルバハルが着用していたため、22番となった。今シーズンは開幕戦からセンターバックの一角としてスタメン出場を果たし、第3節のマジョルカ戦では早くもレアル加入後初ゴールを決めている。
ゴツいだけではない。卓越したスプリント能力は必見
リュディガーといえば、190㎝85kgの恵まれた体格に目がいく。実際に体の強さを武器としたパワフルな守備が得意。さらにクラブチームやドイツ代表として積み上げてきた経験や目の前の相手に食らいつく旺盛な闘争心で、相手を圧倒する。
そういったフィジカル的な強みに加えて、機動力も備えている点も忘れてはいけない。サイズがあるからといって動きが鈍いことはない。むしろスプリント能力が高いため簡単に剥がされることはなく、抜かれても持ち味のスピードを生かしたプレスで距離を詰める。そんな対人の強さが持ち味だ。
2021-2022シーズンのブライトン戦では、時速36.7キロを記録。これはスピードを武器としているモハメド・サラーやアダマ・トラオレを抑え、現時点でのプレミア最速記録となっている。
また、リュディガーは積極的に相手へチャレンジする傾向が強い。ロングフィードや縦パスを受けようとする相手のフォワードに対して、徹底的に潰しにかかる。これは彼のスプリント能力があるからこそできる技だろう。入れ替わられても追いつくことができるため、“攻めのディフェンス”ができる。
リュディガーは攻撃面でもチームに貢献している。足下の技術も高水準のものがあり、ミドルレンジのパス精度はかなり高い。また、サイドバックでプレーした経験もあるため、自らボールを持ち運ぶこともできる選手だ。
また、攻撃のセットプレー時にも重要な役割を担う。長身を有しているリュディガーはターゲットとして攻撃に参加。セットプレーからの得点を得意としており、2019-2020シーズンのレスター戦では、ヘディングで2ゴールを奪う活躍をみせた。
アンダーカテゴリーからドイツの中心選手。カタールW杯でも期待大!
リュディガーはU-18から世代別のドイツ代表に選出されており、A代表デビューは2014年5月13日に行われた国際親善試合のポーランド戦だった。A代表デビュー時の背番号は19番だったが、その後16番をつけ、現在は、2番をつけている。
EURO2016のメンバーに選出されていたが、トレーニング中に右ヒザの前十字靭帯を断裂。しかし、驚異的な回復を見せて翌年に行われたコンフェデレーションズカップに出場すると、センターバックとしてドイツの守備を支え、優勝に大きく貢献した。
2018年のロシアワールドカップ(W杯)でもメンバー入りを果たし、第2節のスウェーデン戦に出場。リュテガー自身はこの試合のみの出場に終わり、ドイツはグループステージ敗退となった。ロシアW杯後もドイツ代表に選出され続け、EURO2020にも出場。カタールW杯のヨーロッパ予選でもドルトムントのニクラス・ジューレとのコンビで、10試合を戦いわずか4失点に抑えるなど圧倒的なパフォーマンスで突破に貢献し、本大会でも活躍が期待されている。
驚異的なフィジカルとスピードを武器に、闘志溢れるプレーでチームを支えるリュディガー。配球や自身でボールを持ち運ぶこともできるなど攻撃でもアクセントを付けられる貴重な存在だ。カタールW杯では、攻守に期待がかかるリュディガーに注目だ。
写真:ロイター/アフロ