11月20日にFIFAワールドカップカタール2022が開幕する。今大会は、2002年に行われた日韓大会以来20年ぶりとなるアジアでの開催。さらに22回の歴史の中で、初めて冬に行われるなど、例年と比べるとイレギュラーな大会だ。

そんなカタールW杯を楽しむべく、今大会の注目選手をポジション別に5人選出。今回はセンターバック編として、オランダ代表のフィルジル・ファン・ダイク、ブラジル代表のマルキーニョス、ポルトガル代表のルベン・ディアス、ドイツ代表のアントニオ・リュディガー、イングランド代表DFジョン・ストーンズを紹介する。

オランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール)

リヴァプールで存在感を発揮し、2019年にDFの選手としては14年ぶりとなるPFA年間最優秀選手賞を受賞したのがファン・ダイクだ。190cmを超える長身であり、恵まれた身体能力を生かした対人守備の強さと、正確なロングフィードを兼ね備えている。

2018-2019シーズンのプレミアリーグ全36試合の中で、一度もドリブルで抜かれないという偉業を達成。さらに空中戦の勝率76.6%という驚異的な記録を残すなど、ディフェンスリーダーとしてチームを牽引する。すると同年のUEFAチャンピオンズリーグでリヴァプールの優勝に貢献し、DF史上初となるUEFA最優秀選手を受賞した。

身体の強さはもちろんだが、それだけに頼るのではなく、的確な読みやポジショニングの良さが特徴で、カバーリング能力も高い。さらに攻撃時には、力強いヘディングをでゴールを狙うなど、セットプレーで相手の脅威となる。攻守でオランダの鍵となる選手だ。

ブラジル代表DFマルキーニョス(パリ・サンジェルマン)

セレソンのセンターバックの一角を担っているのがマルキーニョスだ。2013年から長きに渡ってパリ・サンジェルマンの最終ラインを支えており、183cmとセンターバックとしては小柄だが、快速FWにも負けないスピードとジャンプ力、鋭い読み、そして対人プレーの強さを武器としている。

攻撃面ではパスの精度が高く、バックラインからのビルドアップでは起点となる前線へのロングフィードを正確に通すことができる。さらにセットプレーの際には、ジャンプ力を活かした打点の高いヘディングでゴールを決めることができるのも特徴だ。

攻守両面でチームを助けることができる現代的なセンターバックであり、マルキーニョスの出来がブラジル代表の結果を左右すると言っても過言ではないだろう。

ポルトガル代表DFルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)

名将ジョゼップ・グアルディオラに「外せない選手」と言わしめた、ポルトガルの現代版センターバックだ。

2020-2021シーズンからマンチェスター・シティに加入すると、卓越したディフェンス能力と高いビルドアップ能力でポジション奪取に成功。プレミアリーグ王者に欠かせない存在感を示した。

守備面では、プレミアリーグでも当たり負けしない屈強なフィジカルと、快速FWとのスピード勝負にも負けないアジリティを武器にピンチを防ぐ。さらにボール奪取能力、カバーリング能力も高く、バックラインに安定感をもたらす存在だ。攻撃面は、右足から放たれる高精度のパスに注目。ピッチ上のどの位置にもピタリと通すロングフィードで攻撃のチャンスを作り出す。ルベン・ディアスが各国のエースを抑えることができれば、ポルトガルの上位進出も見えてくるだろう。

ドイツ代表DFアントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)

プレミアリーグの強豪チェルシーで頭角を現し、2022年からレアル・マドリードに加入したのがアントニオ・リュディガーだ。

190cm85kgの恵まれた体格を活かしたフィジカルの強さが武器で、当たり負けしないだけではなく、スピードも兼ね備えており機動力がある。ボールホルダーに対してボールを奪いにいく積極的なディフェンスができ、そこで相手にかわされたとしても追いつくことができるスピードがあるため、攻めのディフェンスをすることが可能だ。

センターバックながら足元の技術も高く、パスの精度は高いので、リュディガーからの一本のパスでチャンスを生み出すことも多い。長身を活かしたヘディングの強さもあるためコーナーキックやフリーキックなど、セットプレーからのゴールで、攻撃面でもチームに貢献できる選手だ。ドイツの躍進は、リュディガーにかかっている。

イングランド代表DFジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)

マンチェスター・シティでセンターバックのポジションを掴み、活躍しているのがジョン・ストーンズだ。所属クラブではセンターバックだけでなく、右のサイドバックとしてもプレーする。

MFのポジションでの経験があり、足元の技術が高いため、最終ラインからのビルドアップでのつなぎが持ち味の一つ。グラウンダーのパスだけではなく、サイドチェンジのロングパスも精度が高く、攻撃の起点となれる選手だ。

守備ではやや軽いプレーが目立つも、ゾーンに入ればエアバトルの強さ、対人プレーでの粘り、カバーリング能力の高さなど、相手の脅威になる部分は多い。イングランドの攻守を支える重要な存在といえる。

文・渡邉知晃

写真:ロイター/アフロ