【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループG】カメルーン vs ブラジル(日本時間12月03日/ルサイル・スタジアム)

本大会のブラジルは、いつものブラジル・・・いや、いつも以上のブラジルだ。2試合連続のクリーンシートで、悠々とグループリーグの突破を決めた。スコアこそ初戦2-0、第2戦1-0という僅差のように見えるが、その実、試合のクオリティーを見ると5-0以上の内容にしか見えない。

【映像】消化試合モードの王国ブラジルはそれでも世界最強

サイドを自由に支配し、チャンスを作り続け、ゴール前に迫り、隙あらば中央へピンポイントでロングフィード楔を入れてくる。ヴィニシウス、リシャルリソン、ラフィーニャの3人が好き勝手に躍動し、その扇の要にネイマールがいる4TOPのような布陣は、ブラジル史上最強の攻撃力を誇る。

この4人を下からカゼミーロやチアゴ・シウバが支える様は、まさに鉄壁。このチームを負かすチームなどあるのだろうか?と唸るしかない。

対するカメルーンは、スイスとの対決に敗れ、残るは史上最強のブラジルに勝つしかなくなった。1990年代に「向こう20年の間のW杯で、アフリカが優勝するだろう」と言われた時代があった。その驚異的な身体能力に、サッカーのインテリジェンス、戦術、組織力が加われば、あの王国ブラジルを負かすチームが現れるに違いないと。

往時、その筆頭候補がカメルーンだった。あれから30年。アフリカの国はまだ優勝はおろか、決勝戦にも出たことがない。

今大会のカメルーンを見ると、30年間の停滞を感じざるをえない。とにかく溢れる身体能力。考えられない角度から繰り出すクリアや、ボレーの跳躍力。爆発的な走力やスピードは、シンプルに見ていて楽しい。シュポ=モティングのドリブルなどはその典型だ。

2勝したブラジルは、いつものようにメンバーを入れ替えてくるだろう。まだピッチに立っていないベンチ組の中でビッグネームがゾロゾロ揃っている。大ベテランのダニエウ・アウベスが顔出し興行的にスタメンを張ることや、いぶし銀ファビーニョがピッチに立つことや、ブレーメルが経験を積むこともあるかもしれない。ガブリエル・ジェズスがもう一度チャンスを貰ったり、ロドリゴに自信をつけさせるための大舞台が用意されるかもしれない。

消化試合の時に現れる「ブラジルB」が、手負いで向かってくるライオン=カメルーンにどこまで応対できるか?この試合の見どころは、実はそんなところにある。

・注目選手

【カメルーン】シュポ=モティング

その身体的能力はブラジル選手と比べても遜色ない。瞬間の爆発力や走力、バネ、ボールへのアクセスは素晴らしい。初戦のスイス戦でもGKゾマーの好セーブ連発がなければ、今大会初のハットトリックも夢ではなかった。ブラジル相手に個人でどこまで通用するのか?一人のサッカーファンとして大変興味深い。

【ブラジル】リシャルリソン

この試合にスタートから出られるかどうか?は判らないが、ピッチに立てばゴールを常に狙う、久しぶりにブラジルに生まれた9番らしい9番だ。セルビア戦のゴラッソ(2点目)は大会が終わってもしばらく映像で流れ続けるだろう。

【ブラジル】ヴィニシウス・ジュニオール

1・2戦を通じて、最も決定的なシーンに登場しているのではないか?しかしながらゴールはまだ「ゼロ」。シュートミスもあったし、ニアを割り切れない場面もあったが、そろそろ本人もW杯初ゴールが欲しいところだろう。グループリーグ最終戦で爆発し、一気にノックアウトラウンドに向けて勢いをつけたいところだ。

文:橘高唯史

(ABEMA/FIFAワールドカップ カタール 2022)