カタールワールドカップも終盤戦に突入し、間もなく準決勝が行われる。

連覇を狙うフランス代表、メッシ最後のワールドカップで悲願の優勝に向かうアルゼンチン代表か、前回大会に続き圧倒的な粘り強さを見せるクロアチア代表か、アフリカ勢初のベスト4進出で衝撃を与えているモロッコ代表か。ここまで来るとどこが優勝してもおかしくない拮抗したレベルの争いが繰り広げられる。

【映像】最強攻撃陣の王者フランス vs 最強堅守のハングリー集団モロッコ

ベスト16で敗戦した日本代表のメンバーも日本に帰国し、テレビ出演した久保建英が、今回のワールドカップでブラボーなシーンを求められると、久保は「フランス代表のエムバぺのスピード」を挙げた。

大会連覇に向けて、フランス代表のエースのエムバペはイングランドの徹底した包囲網に封じられて無得点に終わった。しかし、得意の左サイドで対面したDFウォーカーがスピード勝負でもぶっちぎるなど、強烈な身体能力や個の力を見せる場面は、衝撃を与えた。

そのシーンを振り返って久保も「マッチアップしている選手も世界最高のスピードを誇る選手ですが、エムバぺ選手は、世界陸上でも活躍できるようなスプリントの持ち主でボールを持ってもスピードが落ちない」とエムバぺの唯一無二の個の力を分析した。

イングランド vs フランス戦の前もDFウォーカーとエムバペのマッチアップに注目を集めたが、準決勝でのフランス vs モロッコでも更に注目の対決がある。

それがエムバペ vs ハキミのマッチアップだ。

二人は、昨年からパリ・サンジェルマンでチームメイトとなり、同い年でとても仲が良い。ロッカールームでの交流も有名だ。

アクラフ・ハキミは、攻撃性能が際立つ、世界最高クラスの右サイドバックだが、スピードを活かしたアタッカーのような攻撃参加も魅力でプレースキッカーとしても優秀だ。

キャリアの始まりは、2006年10月20日にレアル・マドリードの下部組織に入団。以降は順調にステップアップしていき、2016年からレアル・マドリード・カスティージャでプレーし、そのプレースタイルから「未来のカルバハル」と紹介された。

その後、順調に成長して、レアル・マドリード→ボルシア・ドルトムント (loan)→インテル→2021年にパリ・サンジェルマンに移籍。パリ・サンジェルマンとは、2026年までの契約を締結。

代表歴では、スペイン代表ではなく、両親の祖国であるモロッコ代表を選択。2016年10月のカナダ代表戦にて17歳で代表デビュー、その年のモロッコ若手最優秀選手にも選出された。前回のロシアワールドカップに登録メンバーに入り、グループリーグでは全3試合に出場し、チームはスペイン代表と引き分けるなど善戦したが、1分2敗でグループリーグ敗退に終わった。

今大会のモロッコ代表は、アタッカーのジエシュや最終ラインのハキミの奮闘でサプライズの主役へと駆け上がりアフリカ勢初となる4強進出を果たした。しかし、そこに立ちはだかるのが、エムバぺ率いるフランス代表の黄金の三銃士(エムバぺ、ジルー、グリーズマン)だ。の猛攻をどう防ぐかも見ものだ。

エムバペ vs ハキミのパリ・サンジェルマン同僚のマッチアップも見逃せない。お互いスピードを活かしたプレー面など共通している点が多い。ハキミは、チームメイトとしてエムバぺの癖やスピードなども熟知しているはずだ。果たして、分かっていてもエムバぺの爆発力は止められないものなのか? 

今大会のダークホースのモロッコ代表と大会連覇を狙うフランス代表の一戦には、マッチアップという面でも大いに見逃せない一戦だ。

(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)