FC東京と帝京大は2023年からパートナーシップを締結

 J1リーグのFC東京は9月14日、帝京大学と業務提携契約を締結したことを発表した。サッカークラブと大学が業務提携を結ぶ時に多いのは、サッカークラブから大学サッカー部への指導者派遣や、大学サッカー部がユース出身選手の受け入れ先になるといったケース。しかし、今回の業務提携はスポーツ医科学サポートが目的であり、FC東京のトップチームの選手たち、1人1人が能力を最大限に発揮できる環境作りを目的としている。

 FC東京と帝京大は2023年からパートナーシップを締結していた。これまでは帝京大の学生に、プロスポーツクラブに触れる機会を提供したり、FC東京のスタッフが帝京大でスポーツビジネスの特別授業をしたりするほか、共同して都内の約150の公立小学校に体育教材となる「あおあかドリル」を配布するなどの活動を行ってきた。

 今回の業務提携契約により、FC東京の選手たちは帝京大の誇る日本屈指の設備を使用できることになる。帝京大学には2011年にスポーツ医科学センターが設置されており、スポーツ損傷の診療に特化したクリニックでは超音波(エコー)診断機器以外にも単純X線、MRIなどの画像診断機器によって検査ができるだけでなく、難治性の障害に有効な対外衝撃は治療器や同時に8人まで収容できる高気圧酸素治療器も導入している。

 さらに、「動きの質を可視化する」をコンセプトとするアメリカのロサンゼルスにある「Movement Performance Institute」と業務提携している「MPI TOKYO」ではスポーツにおける基本動作を分析して本人の弱点を洗い出し、アスレティックトレーナーやストレングスコーチにフィードバックし、傷害予防の取り組みもしている。

 帝京大スポーツ医科学センターは、「帝京大学のスポーツを強くする」「日本のスポーツを強くする」「スポーツの力で日本を豊かにする」というビジョンを持ち、今回の業務提携は2番目の「日本のスポーツを強くする」にあたる。また、帝京大の冲永佳史理事長学長は「トップアスリートがどういう身体活動をしているかをつぶさに観察することで見えてくることがあると思います。我々にとっても有意義な活動になります」と、FC東京の選手たちのデータを採取することによってさらなる発展につなげられる可能性を語っている。スポーツ医科学センターセンター長の中川匠氏は、「これまで我々が培ったアスリートサポートのノウハウをFC東京様に提供することができ、今後チーム成績が飛躍的に向上するために全力を尽くす所存です」と意気込んだ。

 FC東京の川岸滋也代表取締役社長も、「昨今、サッカーのシーズンが過密日程になっていて、この傾向は年々進んでおります。そういう意味でも選手のコンディション維持、パフォーマンス補助にこういった取り組みは非常に大事で、今回の業務提携がFC東京にとってとても大きな取り組みであることは間違いない。今後、この縁をさらに発展させていきたい」と喜び、小原光城GM(ゼネラルマーネージャー)も「今はトップチームが主になりますが、今後アカデミーの優秀な選手たちとも取り組めるようにしていき、クラブとしても日本でトップを走れるような取り組みにしていきたい」と、今後の展望を語っている。(河合 拓 / Taku Kawai)