10月21日に開催されるDDTの両国国技館大会、そのメインイベントであるKO-D無差別級選手権の雲行きが怪しくなってきた。

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(佐々木の下半身を徹底して攻めていくディーノ。この光景が夜9時台に放送された)

(C)DDTプロレスリング

このDDT年間最大の大一番でベルトをかけて対戦するのは、王者・男色ディーノと挑戦者・佐々木大輔だ。

ディーノは里村明衣子、入江茂弘との3WAY王座戦を制してタイトル獲得、佐々木はKING OF DDTトーナメント優勝とメインの資格は充分に持っている。ディーノは世間的一般に向けた知名度のあるDDTの“アイコン”であり、佐々木は常に最前線で体を張り、無鉄砲な試合ぶりと無軌道なコメント、無茶な生き様で“カリスマ”と呼ばれる。付け加えると“カリスマレスラー”というより“アダ名がカリスマ”というある種の軽さも魅力である。

つまりアイコン対カリスマのトップ争いな訳だが、何しろどちらも曲者だ。9月25日の前哨戦では佐々木が勝利しているが、その際にポイントとなったのが、対戦相手の股間を後ろから前から執拗に狙うディーノの男色殺法。この恐怖の男色殺法に対し、佐々木はまったく反応せず。「気持ちよくない=効かない」という理論で攻略してみせた。

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(ダブル攻撃も見せたディーノ&樋口。ポーリーを排除してフィニッシュへ)

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ところが、10月2日の「DDT LIVE! マジ卍」で行われた前哨戦第2弾、ディーノ&樋口和貞vs佐々木&マッド・ポーリーは様子が違った。序盤こそ男色殺法に無反応だった佐々木だが、長時間のリップロック(唇で唇を塞ぐサブミッション・ホールドの一種)を長時間にわたって極められるうちに股間を押さえて腰砕け状態に。

グラウンドで腰を振り立てるディーノに完全に身を任せてしまった佐々木はうめき声をあげる醜態。最後は男色ドライバーからの漢(おとこ)固めで完璧な3カウントとなった。

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(破壊されたパネルの最後の使い道は記念撮影。両国大会へディーノが弾みをつけた)

(C)DDTプロレスリング

試合序盤はディーノの記念撮影用パネルを椅子で破壊するなどの暴れっぷりを見せていた佐々木。ディーノはあくまでそんな無法行為を取り締まっただけだという。自身のド下ネタも夜9時台に生中継されているわけだがお構いなし。新ユニット「ジ・コンプライアンス」を率いるディーノ曰く「リング上のコンプライアンスのためなら、コンプライアンスなんて守ってられない」。

一方、敗れた佐々木は「先週は我慢してただけだ。我慢だって限界あるだろ。俺は快楽に溺れるタイプなんだ。ディーノの野郎、恥かかせやがって」と屈辱のコメント。「酒、ドラッグ、男、女」気持ちよければなんでもありなのがカリスマとしての生き方なのだという。リップロックが快楽に溺れるきっかけになったのも象徴的だ。常に激しい試合を見せ、プロに徹するカリスマだが、プロだからこそ「キスはダメ」といったところだろう。

両国に向けては「気を抜くと快楽に溺れてしまうから、やられなきゃいい」もしくは「プライベートでもやられ慣れるしかない」など掴みどころがなさすぎるコメントに終始した佐々木。両国セミファイナルの竹下幸之介vsCIMAを「アスリートプロレス」とした上で「メインもアスリートプロレスを見せてやろうか」。

2週連続で「男色殺法で気持ちよくなるかどうか」という展開を見せつけられてしまった我々としては、アスリートプロレスといたっところでどんなアスなのか予想もつかないのだが、とにかくこのままでは両国国技館のメインイベント、タイトルマッチという格式と品格が重んじられる場でド下ネタが展開されそうな流れ。

それはそれでDDTらしく、前哨戦で雲行きが怪しくなればなるほど両国が楽しみになってきたりもするのだが、生中継の担当者は気が気ではないだろう。

文・橋本宗洋

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