“ウレタンマスク警察”に若新雄純氏「マイナスに目が行きすぎ」 感染拡大対策を“加点方式”で考える
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(5枚)

 収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。第3波による感染拡大が続く中、使用するマスクの“素材”に注目が集まっている。

 去年公表のスーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーション結果では、不織布マスクと比較し、布やウレタンのマスクは細かい飛沫の飛散が前方に多く見受けられた。不織布のマスクは吐き出し飛沫量を約80%カット、吸い込み飛沫量は約70%カットするが、ウレタンマスクの吐き出し飛沫量は約50%カットにとどまり、吸い込み飛沫量も30~40%カットだった。

【映像】「こんなに飛沫が…」マスクの種類別に調べたシミュレーション結果

 ネットでも「ウレタンマスクは確かにスカスカ」「若者の感染者が多いのってこれも関係あるのかな」「目の前で連れと話しだしたとき、ウレタンマスクだと怒りが増す」などの声が続出。ウレタンマスク使用者を注意する“ウレタンマスク警察”も現れる中、「(ウレタンマスクの使用よりも)それ以前に不織布マスクを広げて使っていない人とか鼻を出している人の方が問題ある」という意見もあり、物議を醸している。

“ウレタンマスク警察”に若新雄純氏「マイナスに目が行きすぎ」 感染拡大対策を“加点方式”で考える
拡大する
“ウレタンマスク警察”に若新雄純氏「マイナスに目が行きすぎ」 感染拡大対策を“加点方式”で考える
拡大する

 このニュースに慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「新しく分かったことは取り入れ、より効果がある対策方法に変えていけばいい」とした上で、長引くコロナ禍で「過剰なストレスでつぶれてしまわないような社会にする必要もある」と提言する。

「新型コロナと付き合う時間は今年も長く続くだろう。今後もコロナ対策の検証結果はどんどん出てくると思う。僕たちは、変えられる範囲のことは、より効果がある方法にどんどん変えていけばいい。その一方で、少しでも(新型コロナへの対策が)できていないからといって『絶対ダメ』『帰ってください』ということが増えすぎると、ストレスに耐えられなくなるのではないか。長く続くコロナ禍の新しい日常を、多くの国民市民が過剰にストレスを感じすぎない範囲で、きちんと対策をしていけるバランスのとれた社会にしていくことも重要ではないか」

 東京都によると、19日に都が確認した新型コロナウイルスの感染者は1240人、重症者は155人。20日は1274人で、重症者は前日から5人増え、過去最多の160人を記録した。全国の重症者と死者の推移を見ると、一日当たりの死者としては19日に初めて100人を超え、重症者と共に過去最多を記録している。

“ウレタンマスク警察”に若新雄純氏「マイナスに目が行きすぎ」 感染拡大対策を“加点方式”で考える
拡大する

 誰もが新型コロナウイルスの驚異と日々の感染対策へのストレスを感じている中、“ウレタンマスク警察”について、若新氏は「小学校の組体操」を例に出して指摘する。

「例えば、飲食店に行くときにマスクを忘れてしまったとする。持っているなら当然つけてもらうべきだが、たまたま忘れちゃったお客さんに対してお店側は『絶対ルールだから帰ってください』と徹底するというのも1つでだが、『席まではしゃべらないでくださいね』と言って、口を開けないことを守ってもらえば、それも少しは対策になる。他のお客さんも、席に座ってご飯を食べるときはマスクを外すわけで、入口から席までの距離で誰か1人がマスクをつけなかったからと言って、お店が今までやってきたコロナ対策がすべて水の泡になるわけではない」

「マスクをしなくていいと言いたいわけではなく、そもそも、不織布マスクでも(ウイルスを)100%防げるわけではなく、『より高い効果で防げます』ということ。誰か1人でもベストな方法をサボったら日本中の対策が何もかもすべて無駄になるのであれば厳密に守ってもらう必要があるが、感染の『拡大』を少しでも抑えようという現段階においては、そうじゃない。『少しでも不十分なものを問題視する』という減点方式で考えすぎる風潮は、小学校の組体操と似ている気がする。下の誰かが1人でもサボると一気に崩れてすべてゼロになってしまうが、現状での感染拡大対策はそうではないはず」

“ウレタンマスク警察”に若新雄純氏「マイナスに目が行きすぎ」 感染拡大対策を“加点方式”で考える
拡大する

 さらに、若新氏は「感染拡大対策の日々を長く続けていくには、加点方式に視点を変える必要があると思っている」とコメント。不十分な人や場面を責めるのではなく、「一人でも多くの人がより効果の高い対策をとり、それを少しでも多く増やしていこう、効果のあることを積み上げていこう、という視点に切り替えるべきじゃないか」と述べる。

「100人いてその内99人がマスクをしていたら、誰もマスクをしないよりは感染の拡大を抑える効果がある。今はその1人だけマスクしてない人の“マイナス1”に注目が集まりがちだが、マスクがどうしてもできない人がいたり、たまたま忘れてしまったりすることもあるだろう。今はマイナス部分に目が行きすぎているが、そこを減点方式で責めるよりも、一人でも多くの人が効果のある対策をできていることを評価していく、という加点方式でやればいいと思う。ウレタンや布よりも不織布マスクの効果がより高いとわかったら、買える人は買う、使える人は使う、持っている人はできるだけ忘れずにつけるようにするなど、効果を加点していくべきじゃないか」

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

【映像】ウレタンNG? 不織布マスク指定の理由
【映像】ウレタンNG? 不織布マスク指定の理由
この記事の写真をみる(5枚)