女性アスリートの性的画像で初の逮捕者…ただし著作権法違反での立件は“苦肉の策”、男性が対象になるケースも
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 京都府に住む自営業の男が自身の運営するアダルトサイトに女性アスリートの無断で掲載したとして逮捕された事件。警察によると、男はテレビ番組の画像39枚を卑猥な見出し、さらにアスリートとは無関係の女性の裸の画像とともに掲載、これまでにサイト運営を通して1億円以上の広告収入を得ていたという。

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 今回の事件は、女性アスリートの性的画像問題に取り組んできた日本オリンピック委員会(JOC)からの情報提供がきっかけで容疑者の逮捕に至った初のケースとしても注目を集めており、JOCの山下会長は報道を受け「さらに抑止力を高める第一歩として歓迎したいと思う」とコメントしている。

■「正直なところ、これしか方法がなかったのでは」

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 今回の事件、警察は名誉棄損の疑いも視野に捜査しているが、男の逮捕容疑は、あくまでもテレビ局の画像を無断転載した“著作権法違反”だ。11日の『ABEMA Prime』に出演した、ネット上のトラブルにも詳しい深澤諭史弁護士は「“性的画像”ではあっても“わいせつ物”ではない以上、その点での摘発も難しい。そこでテレビ局等の権利を侵害したとして摘発したのだろう。正直なところ、これしか方法がなかったという、まさに“苦肉の策”だったと思う」との見方を示す。

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 番組では先月、女性アスリートの性的画像の問題について特集していた。その際、「出てしまったものを止める術がないので、泣き寝入りしかなかった」と現役時代を振り返った元アーティスティックスイミング選手の石黒由美子さんは、今回の報道を受け、「競技の特性上、脚を開いたり、大人の女性としての魅力を出すような演技・演目もあったりする。美しさを競う以上、そこは仕方がない。それでも、アダルトサイトなどに性的なものと一緒に掲載するのは悪質だ。なんとか法整備をお願いしたい」と訴える。

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 深澤弁護士は「内容にもよるが、肖像権やプライバシーの侵害、あるいは卑猥な言葉と一緒に掲載されたことでの名誉権の侵害といった観点から削除の請求ができる可能性は十分にある。また、アスリートの社会的評価が低下させたということで名誉毀損罪には問えるので、警察も検討しているということだ」と説明。

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 「一方で、今回はテレビ局の著作権という“武器”があったが、仮に性的に解釈できそうな画像であったとしても、本人が撮ったものであった場合、“オープンにやっていたことでしょ”と言われると反論が難しくなってしまう。加えて、例えばパソコンの中に保存しているものにまで削除の請求をするのは現行法上、非常に難しい。残念ながら、打つ手が見つからないというのが現状だ。

 いわゆる“リベンジポルノ”については法整備が進んだし、性的画像についても法整備がなされる可能性はあると思うが、課題も多い。まず、映画館での作品の盗撮などとは違い、公の場所で行われているものの撮影を全て取り締まるのは難しい。今回の場合も、あくまでテレビ局がオフィシャルに撮ったものが対象だ。下手に法律を作れば、カメラを向けただけで犯罪になりかねないということだし、それは報道の自由の観点とのバランスから見ても難しいと思う」と話した。

■「心の部分を取り締まるのは難しい。男性側も声を上げられるけれど、スルーされがちだ」

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、デジタルカメラや画像編集ソフトの性能が向上した今、個人レベルでも全身の写真からクローズアップの画像が作成できてしまうこと、さらにSNSや監視カメラ、ウェアラブルデバイスの普及によって、一般人でさえもそうした撮影や情報拡散の被害に遭う蓋然性が高まっていると指摘。「それでも内心の自由もあるし、見ること自体を禁止することはできない。そもそも“性的じゃない眼差し”というのもあり得ないと思う。SNSなどで共有することなどに対し、“一罰百戒”を続けることが大事だと思う」とコメント。

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 また、新宿・歌舞伎町のゲイバーの店員・カマたくは「目に見えない心の部分を取り締まるのは難しい。実は男性もかなりやられている。ゲイの世界では、例えば水球選手やラグビーの選手の画像を切り取ったものが出回っている。男性側も声を上げられるけれど、スルーされがちだ」と指摘。

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 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「男性アナの入浴シーンの動画が非常に再生されるなど、性別に関係なく様々なニーズがあるし、残念ながら、有名であろうとすればするほど、何でも撮られる。記録されることへの適応が求められてしまう社会になっているということだ。加えて、今回の容疑者のように、まとめサイトやエロサイトを作り、そこに掲載した広告で稼ぐのが、起業で働くよりも手っ取り早く稼げる方法になってしまっている。そこの“いたちごっこ”をどう取り締まるのかの課題もある」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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