5人と1人どちらを助ける? 小・中学校で出題された「トロッコ問題」めぐり賛否の声
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 子どもたちに出題した“究極の選択”をめぐり、学校が謝罪するなど物議を醸している。

 山口県岩国市立東小学校と東中学校で「心理教育プログラム」として実施された授業で、担当したスクールカウンセラーが出したのは「トロッコ問題」。トロッコ問題とは、ブレーキがないトロッコの線路の先に縛られて横たわる5人と1人がいる状況で、分岐点にいる自分が「A.何もせずに5人が死ぬ運命」「B.レバーを引いて1人が死ぬ運命」のどちらかを選ぶものだ。

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 学校側の狙いは、選択に困った時に周りに助けを求める大切さを教えることで、このトロッコ問題で回答は求めなかったという。しかし、児童の保護者から「授業で不安を感じている」と学校に苦情が入り、学校側は一部の子どもに心理的不安を与えたとして児童や保護者に文書で謝罪したということだ。

 なお、SNS上では「ちょっとお題が重すぎる」「子どもに聞かれたら答えられる気がしない」「考えるきっかけになる」「世の中には正解がない問題もある」と賛否の声が上がっている。

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 この問題について、臨床心理士でスクールカウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「哲学者のフィリッパ・フットが考えた問題で、古くから使われてはいるが、僕がやるならこの問題は使わない。やはり人の命に関わることなので、感受性の強い子は場面をリアルに想像してショックを受けてしまったり、授業が終わっても気分の悪さを引きずってしまう可能性がある」とコメント。

 一方で意義もあるといい、「合理性と道徳心のジレンマの思考実験で、人の命という重要な対象を提示することで人間の本質的心理に迫ろうとするもの。大事なのは答えを出すことではなくて、『正解はない』ということが導き出せるか。『何が最善の選択か?』ということを考え続けることはある種、人間心理の罠と考えられていて、社会的な正義は存在しないということに気付き、こういう問題にぶつかった時に対話しよう、多様な価値観を交換して相互理解につなげようというところが落とし所だったのでは」との見方を示した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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