五輪マラソン札幌案「アスリートファースト」に若新雄純氏「五輪は記録より『舞台』のお祭り」
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 東京オリンピックのマラソンと競歩の開催地は札幌になるのか。30日から東京都とIOC(国際オリンピック委員会)による正式な話し合いが始まった。

 都民ファーストの会の試算によると、北海道開催に伴う追加費用は、会場改修の約70億円など合わせて340億円に上るとみられている。この莫大な金額はどこが払うのか。東京都の小池都知事は「都が負担することはない」と明言しているが、北海道の鈴木知事は「従来のルールに従い、組織委員会や東京都が負担をするものと認識している」と費用負担には応じない考えを示している。

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 どちらも費用負担を拒む中、注目されているのが「予備費」だ。東京都と国、組織委員会による予算は1兆3500億円。これとは別に、予期せぬ事態が生じた場合に予備費1000億円~3000億円が用意されると大会組織委員会のホームページに明記されている。しかし、この予備費をどこが負担するかについての決まりはなく、立候補ファイルには「組織委員会が資金不足になった場合は都が補填することを保証する」と書かれている。つまり、組織委員会に余裕がなかった場合、開催地変更を余儀なくされる上、追加費用も都が用意しなければならない。

 東京都が費用を負担する可能性について、都民はどのように思うのか。意外にも賛否が分かれており、「札幌に決めたというのはちょっと強引じゃないか。(追加予算負担なら)都民は黙っていない」「住民としては負担がありますね。ちょっとどうかなって。東京開催ならさらに払ってもいい」「東京都が決めて払うのであれば、そんなに文句はない」「東京集中もいいんですけど、地方にも頑張ってほしいので北海道で応援したい。(費用負担も)納得する」との声が上がっている。

 一方、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、東京五輪開催に関して謳われる「アスリートファースト」という言葉に疑問を呈する。

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 「僕が思うアスリートファーストは、選手に配慮した環境を勝手に決めつけて用意することではなく、当事者の声を聞くこと。ニュースを見ている限り、走る予定の選手や過去に走った人からみてどうなのかという意見はあまり出てこない。選手本人が意見しづらいムードはあるかもしれないが、選手がどう思うかの方が大事だと思う」

 また、過去の五輪メダリストやマラソン関係者の話として、「オリンピックでは良いタイムが出ることは求められていない」という声があることを紹介。マラソンの世界記録の上位のほとんどはオリンピック以外ものだそうで、「オリンピックは世界中の人が注目する“お祭り”なので、その最高の舞台で勝ってメダルを獲ることが重要らしい。選手の多くも、オリンピックには『舞台』を求めているという声もある。札幌が注目されない場所だと言うつもりは全くないが、お祭りとして盛り上げる舞台という意味では東京でのマラソンは十分準備をしてきたと思う」との見方を示した。

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 そもそも、東京五輪はなぜ真夏の8月に開催されるのか。背景には、莫大な放映権料を支払うアメリカのテレビ局が、他のスポーツのビッグイベントを避けて8月開催をリクエストしているとされている。若新氏は「東京開催と聞いて、最初はべつに派手にやる必要はないだろうと考えていたが、やはり国を股にかけた世界的な祭典であることが大事だという気もしてきている。普段は仲があまり良くない国の選手同士も、競技で堂々と戦ったり交流したりする機会になっているのは凄いこと」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

映像:追加費用負担なら「都民は黙っていない」

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