野村克也元監督の遺体写真をSNSに…団野村氏の投稿に賛否 “最期の姿”公開の是非は
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 2月11日に亡くなった、元プロ野球選手の野村克也さん。その義理の息子である団野村氏がTwitterに投稿した、ある写真がいま賛否を呼んでいる

 投稿されたのは、東京ヤクルトスワローズのユニフォームを着て棺の中で眠る野村さんの遺体写真。偉大な野球選手・監督の遺体写真が公開されたことで、SNS上では「最後の野村克也さんを見せてくださってありがとう」「これは絶対駄目ですよ。亡くなった人の写真見せるのはヤバい」「さすがに不謹慎すぎる」と様々な声があがっている。

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 スマートフォンやSNSが普及したことで、死に対する倫理観も変わりつつあるのか。街の人からは「見たい人はいるかもしれないけど、そうではない人もいる」「どっちとも言えない。私も野村監督は素晴らしいと思ってたから、見られればよかったと思う」「息子さんのことだけど、ちょっと気持ちのいいものではない」と賛否両論だ。

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 一方、海外ではどう受け止められているのか。アメリカ・ニューヨークで聞いてみると、「私は写真を見ても特に大丈夫だけど、写真は撮らないかな」「家族の権利だから、Twitterに投稿するのも彼の自由だよ」と寛容な答えもあった。

 遺体を撮影すること、そしてそれをSNSにあげることの是非について、専門家は「するべきではない」との見方を示す。

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 「基本的には嫌がることは多いし、社会通念上、遺体の写真の公開はやめておいた方がいいというのがプロ側の意見。それは見た人が野村元監督を不快に思ったり嫌がったりということをさせないための、故人の尊厳への配慮。死者は家族からしたら父や母などだが、知らない人からすると怖いもの。『死者を怖がるな』というのは不可能だし、一種の強制、支配的になってしまう。そういったことを言わせないために、家族を守るためにも配慮が必要だし、有名人ならなおさら気を遣った方がいい。こういう時に議論しなくていいように、みんなが守れるラインを引けるのが常識とか社会通念の判断で、それをどう運用して何が原則なのかわかっていないといけない。人をおくる時に『ケンカなんかしたくない』というのが、大事な弔いの景色だと思う」(佐藤葬祭の佐藤信顕社長・1級葬祭ディレクター)

 団野村氏は、写真を今もTwitter上に残している。野村さんの葬儀は身内のみの密葬だったため、ファンから「最期の姿を見ることができてよかった」という声も多くあることは事実だ。写真の投稿後、団野村氏は英語で「なぜ多くの人々が『父の旅立ち』についてたたえずに泣いて悲しむのか、私にはわかりません。素晴らしい人生と偉大なキャリアでした。父が成し遂げたことに対して『称賛』以外はないはずです」と綴っている。

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 個人を偲ぶ――亡くなった人に想いをはせる行為は誰のためのもので、どうあるべきなのか。アーサー・ホーランド牧師は、遺体を撮影することについて「葬儀は故人を弔う別世界のような場所。実際に亡骸を愛おしい気持ちで撮影する人はいる。“弔いの形”として一緒に写真を撮るのは許されるべき」と理解を示す。

 一方、写真をSNSにあげた団野村氏の行為については、「団氏も父への愛情、リスペクトの想いから遺体の写真を撮影したと思う。悪気はなく、父のユニフォーム姿を見て思いが溢れたのだろう。ファンにも見せてあげたいと思ったかもしれないが、ファンにとっても大切な人。配慮は必要」と指摘。ネットでは「海外ではこうした行為は普通」という意見もあるが、アーサー牧師によればアメリカなどと日本で倫理観の大きな差はないという。

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 BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「弔い方は人それぞれなので否定する気はない」とした上で、「団さんに悪気があったとは思わないが、自分ならやらない。昨年末に祖父が亡くなった際、葬儀の祭壇や遺影の写真を撮ることにすらためらいを覚えた。故人を心に残しておきたいという気持ちはよくわかるが、『遺体の写真を撮る』というハードルに加え、『ネットに公開する』という、もうひとつの大きなハードルがあると考えると、自分はなかなかできない」と話す。

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 また、キャスターの柴田阿弥は、SNSでは見ようとせずともタイムラインで流れてきてしまう可能性があることをあげ、「Twitterをはじめ、拡散力の強いSNSでは見るつもりがなかったのに見てしまう人がたくさんいるかもしれない。SNSにあげるにしても、リンク先にするなど最大限配慮する必要があったと思う」との考えを述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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