“品薄デマ”拡散と発信元特定…若新雄純氏「『特定』は得意なのにデマは見抜けないSNSのもろさ」
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 2日から全国で一斉休校が始まり、各自治体や家庭が対応に追われる中、不安の声が上がった生活用品の品薄問題。

 この問題に関連して4日、「職員がデマ投稿者の1人だった」として、鳥取県の米子医療生活協同組合が謝罪コメントをホームページに掲載した。トイレットペーパーを巡っては、SNSで「原材料が中国から輸入できなくなる」などのデマが拡散されていた。

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 インターネット上では、こうした情報を最初に発信した人物を探し出す“犯人探し”が行われる事態に。今回謝罪した組合は、当該の職員について「当組合の規定に照らして厳正な対応を検討する」としている。

 そもそも、こうしたデマの書き込みに法的な問題はあるのか。ネットの炎上問題に詳しい法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士は次のように話す。

 「結論としては、デマを流すだけで罪になるということは基本的にはないと考えてもらっていい。個別のデマのせいで被害を受けるといった場合、業務妨害罪という罪が成立するが、今回はどこか特定の企業のことを言っているわけではない。(会社側の対応は)一般的には就業規則で会社を混乱させたなど、懲戒事由が定められていると思う。その懲戒事由に照らして懲戒されるのは普通なので、何かしらの懲戒処分は受ける可能性がある」

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 しかし、このデマはさらなる展開を見せる。該当職員を特定する動きとともに、「間違った自宅写真」や「職員が買い占め・転売している」という別のデマが拡散しているのだ。デマがデマを呼ぶ状況について慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、オイルショック時にも起きたトイレットペーパー騒動を引き合いに次のように指摘する。

 「社会の教科書とかで見たけど、当時は黒電話の時代で、情報を得る方法もテレビや新聞しかなく、変な噂が流れやすかったんだろうと思っていた。今はインターネットが普及して、自分で事実を調べたり情報を取りにいけるようになったはずなのに、SNSではデマは簡単に広がり真実にはなかなか辿りつけない」

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 その一方で、「SNS上の人たちの調べたり見極めたりする力が弱いかというと、発信元の人の個人特定はすぐできたりする」とし、「そういう犯人探しの時は頑張るのに、間違った情報には流されやすく冷静に事実を探すことは上手くできない。『特定』は得意なはずなのにデマは見抜けないという、SNS上での情報との向き合い方が極めてもろいことが浮き彫りになった」との見方を示した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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