「withコロナの時代はベーシックインカムよりもベーシックジョブだ」医師で自民党の“若手改革派”、今枝宗一郎議員に聞く
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 安倍総理はドワンゴとYahoo! JAPANが主催した生番組に出演、14日までに緊急事態宣言を解除する際の基準を示す考えを表明した。また、「13都道府県では極力8割削減を目指す。一方、日本全体では改善に向かっているので、博物館、美術館、図書館、公園などを利用してもらうのは問題ない」とも発言している。

 6日の『ABEMA Prime』に出演した自民党所属の今枝宗一郎衆議院議員は医師でもあり、党の新型コロナ対策医療系議員団本部幹事長として、政策調査会を通じて政府の新型コロナ対策本部に申し入れを行ってきた。

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 緊急事態宣言の解除基準に関して今枝議員は「私たち新型コロナ対策医療系議員団本部としても、基準を示して頂きたいと考えていた。特に大切なのが、1人の患者から何人に広がったかを示す数値、実効再生産数だ。専門家会議のクラスター班が持っているその数値を示して頂きながら、民間の研究者も含めて検証するなど、より民主的に、皆で考えることが出来るといいのではと思う。また、4日に専門家会議が記者会見をした際、最後に副座長の尾身先生が“経済の専門家も入れた形で流れを考えていくことが必要だ”とおっしゃった。その重要性、必要性は我々も非常に感じている」と話す。

 作家の乙武洋匡氏は「最近の自民党の姿勢は意外だった。こういう状況だからといって強制的に取り締まるということには反対だ。その点、自民党が意外に慎重になるべきだという態度を取っている。イメージとは違った」と話すと、今枝議員は「強制力のない自粛要請やお願いでかなりの方に努力をして頂いているということは、日本人として誇らしいと思っている。これからも状況を見て、“どうしても必要だ”、もしくは“このままで大丈夫だ”ということをしっかりと見極めていく必要があると思っている」と答えた。

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 また、安倍総理はPCR検査についても、「能力を2万件まで上げ、大都市での目詰まりを解消していく」と、改めてキャパシティ拡大に意欲を見せている。

 これについて今枝議員は「ごく初期においては医療体制が新型コロナウイルスに対応できるようにはなっていなかったので、PCR検査を絞っていたという側面もあったと思う。ただ、それから2カ月くらいかけて体制がしっかりしてきたので、外来や病床が確保された。軽症者はホテル療養、中等症もコロナ専門病院で受けて頂けるようになり、多くの検査をしても対応できるような状況になってきた。ただ、この1カ月くらいは“目詰まり”が解消しなかったということはあるだろう」との見方を示す。

 「各自治体の保健所、各病院、そして医師の判断で保険適用できるようになった民間検査会社で行う場合とそれぞれに課題があるが、やはり各自治体の保健所がいっぱいいっぱいで対応できないということがある。相談センターにも多くの相談が寄せられているが、そこから外来に通じないということも多い。これらの問題を解決していくためには“37.5℃で4日間”という基準を緩和したりする必要がある。また、病院内で行う検査についてはPCR検査と同じ遺伝子検査であるLAMP(ランプ)法というものがあるが、その試薬が開発できたところなので、これを一気に進めていくことが目詰まりを解消していく上では非常に大事だと思う。そしてあまり知られていないことだが、契約書の問題がある。実は民間の地域発熱外来がPCR検査をする際には、非常にやっかいな契約を結ばなければならない。これを保健所がやらなくてもいいよう、厚労省としても“都道府県の他の部局でやってください”“後から契約すればいいから先に現場は走ってください”といった通知を出してはいるが、地域によってはなかなか聞いて頂けない」。

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 安倍総理の生番組を主催したドワンゴ社長の夏野剛・慶應義塾大学特別招聘教授は「1時間以上にわたって、かなり本音で喋って頂けたと感じている。PCR検査の問題については、政府に“検査数を増やせばいい。増やせる”と言われても、やはり保健所の体制が強化されてこなかったので、総理の言うように“目詰まり”を起こしてしまっていたのだと思う。一方、管轄する自治体としても、すぐに予算を付けて人員を増やすという判断もできない。その点、中国や韓国では政府が命令し、予算もつけて一気にやっていった。特に日本の地方自治体の制度は非常に分権的になっている部分と中央集権的になっている部分が入り組んでいるので、悪い方向に影響が出てしまっているという印象を受けた。緊急時、ここの管轄については誰が指揮し、どこまで独裁的・独断的に物事を進められるのかという、政府全体のあり方が問われていると思う」とした。

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 他方、経済活動の自粛に対する支援の遅さや不十分さを指摘する声もある。約26兆円の今年度の補正予算にはコロナ関連予算として「10万円一律給付」「持続化給付金最大200万円」などが盛り込まれているが、今枝議員ら自民党の“若手改革派”による提言には「100兆円の財政出動」があり、生活保障25兆円、持続化給付金50兆円、医療・研究開発10兆円、地方自治体5兆円、ベーシックジョブなど10兆円といった大胆な政策も入っている。

 これについて今枝議員は「持続化給付金のような形で民間企業に血税を入れることには反対もあったが、できる限りのことをしたいということで押し切って実現してきた。これをどんどん拡大していくということだ。私たち自民党の若手改革派からは、財政出動が100兆円ぐらい必要なのではないか、それで第2次補正を組んでいくべきではないかといった議論も出ている。経済においてはデフレ脱却をやらないといけない。コロナで企業の生産が止まっているのでインフレになると思うが、実は生鮮食品や原油を抜いたコアでもデフレになっている。これを解決しないと日本経済はどうしようもないと思っている。人口減少の問題もあるが、私は脱却できると思っているので、そこを目指してやっていく」と説明。

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 なかでも耳慣れない「ベーシックジョブ」については「最近ではMMTを知っていらっしゃる方は大勢いらっしゃるかもしれないが、それを具体的に政策に落としていく時に、JGP(ジョブ・ギャランティ・プログラム)というものに非常に大きな可能性があると考えている。ベーシックインカムはお金を配ろうという話だが、社会保障のカットとセットになりがちだ。それよりも、これから重要なのは“withコロナ“の時代でもやって頂ける仕事、必要となる仕事に対する国からの支援だ。一つは地域おこし協力隊などをイメージして頂くと分かりやすいが、政府による直接雇用。もう一つが、例えば人手不足が言われている宅配業などへの企業を通じた支援だ。地方の方々のインターネットのセッティングなど、初期設定を支援するような仕事もあると思うし、医療、福祉、介護、保育といったところは給料自体が安いので、ここに補助をして報酬額を引き上げることで、人手不足を解消していく」とした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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