自分より30歳近く若い天才棋士が将棋界を席巻する中、48歳のベテラン棋士は「中身は結構くたびれている」と苦笑いしながらも、その飽くなき向上心に衰えを見せない。「将棋の強いおじさん」「千駄ヶ谷の受け師」など、いろいろな呼び名でファンから愛される木村一基九段は、50代も近づく中、2年ぶりにタイトルに挑戦中だ。対戦相手は、自分より20歳近く若い永瀬拓矢王座(29)。また、今の将棋界は藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)の話題で持ち切り。それでも木村九段は「体力と気力が続くうちは、もうちょっと頑張りたいなと思っています」と、意欲を見せる。目の前の勝敗だけでなく「新しい手を作り出したい」という目標も、心の中で持ち続けている。