愛知県出身の棋士の大活躍には、各地を飛び回る人気アイドルも大喜びだ。SKE48の鎌田菜月は将棋好きで知られ、過去にはアイドルながら「プロ棋士カラー名鑑」の表紙を飾ったこともあるほど。藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)の快挙達成、さらにはその藤井三冠と激しいタイトル争いを繰り広げる豊島将之竜王(31)と、愛知県出身の棋士が将棋界の頂点で活躍する様子は、うれしいことこの上ない。「この歴史的瞬間の今、生きていられるのが幸せだと思うんですよね」と興奮する鎌田に、盛り上がる愛知の状況を聞いた。
【動画】個人・団体4連覇を果たした藤井聡太三冠
9月13日に最年少での三冠を達成し、またも日本中のファンを虜にした藤井三冠。その盛り上がりは当然、地元・瀬戸市でも大きなもので、三冠達成直後の記者会見には、瀬戸市役所からも質問者が登場したほどだ。「普通、市役所の方がそんなところまで行かないじゃないですか。記者の方とは違う、一般の声みたいなものを聞いてくれるのはうれしいですよね」と微笑んだ。約5年前、藤井三冠がプロデビューした後から、瀬戸市は「藤井フィーバー」の中心地として盛り上がったが、今回の快挙でもまた再燃。「地元の注目度、熱量は変わらないですね。少し前までオリンピックが熱かったですけど、それでも地元の人からしたら『オリンピックもそうだけど、藤井聡太でしょ!』というのはあったと思います」と、世界的なスポーツイベントと同等だという。
藤井三冠と豊島竜王は、お~いお茶杯王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負と、相次いでタイトル戦で対決。さらに10月からは竜王戦七番勝負で、今年度3つ目のタイトル戦を行うことになっている。藤井三冠は瀬戸市、豊島竜王は一宮市。将棋界最高峰のタイトルを「愛知ダービー」で争うことになっている。「全国の舞台で、愛知県の人が頑張っているっていうのは、とても誇らしいんですよ。実は愛知県の人、名古屋じゃないのに『名古屋出身です』っていう人もいたりするんですが(苦笑)、これからは棋士の先生がいる瀬戸だよ、一宮だよって、いい意味で見栄を張れるポイントになるんじゃないでしょうか(笑)」。藤井三冠、豊島竜王が活躍するほどに、地元の盛り上がりは全国ニュースにもなる。名棋士の故郷として認知されれば、あえて名古屋の名前を借りることもないわけだ。
10月からの竜王戦七番勝負だが、藤井三冠はこの最高峰タイトルを奪取すると、現役では最多の四冠保持者となり、いよいよ序列1位に立つことになる。一方、豊島竜王もこれを失えば無冠に。先輩としての意地もあるだろう。「今まで藤井先生と豊島先生がずっと当たっている中で、豊島先生も藤井先生から学ばせていただくことがあったとおっしゃっていた。初めて当たる人と、お互いどんどん磨きあって当たるのも、また違うんでしょうね。これからもずっと長く戦っていく先生たちなので、今対局が続いていますが、これも長い目で見れば『序章』なのかなと思います」と、今後10年、20年と続く戦いの物語としては、まだ始まったばかりという印象だ。
2人の棋士に刺激を受けながら、各地でライブなども精力的に行う鎌田。新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか大きな将棋イベントも開催されにくい時期だが、状況が落ち着いたころには、大きな花束を持って、2人のもとを訪れることもあるかもしれない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)