宮内庁は1日、秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さまが、小室圭さんと10月26日にご結婚されることを正式に発表した。
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結婚の時期について、宮内庁は「当初は去年の予定だった。新型コロナなどの状況を鑑みて慎重に考えてきたが、眞子さま自身とご家族、相手、相手家族への誹謗中傷が続き、眞子さまのトラウマになり、複雑性PTSDになるほどの苦痛を感じられている」と説明。その上で、「眞子さまはこれ以上(の誹謗中傷が)続くことが耐えられないとして、秋篠宮さまご夫婦が天皇皇后両陛下に相談したところ、この結婚になった。上皇にも報告されている」としている。
また、眞子さまと小室圭さんは、26日に婚姻届を提出した後、記者会見を行う予定で、一般の結納にあたる納采の儀といった儀式や結婚披露宴などのお祝いは行わないという。また、宮内庁によると、最大でおよそ1億5000万円が支払われる一時金については、眞子さまの意向を尊重して給付しないという。
2017年9月、会見で「小室さんとともに暖かく、居心地がよく、笑顔あふれる家庭を作ることができればうれしく思います」と語っていた眞子さま。ニュース番組『ABEMA Prime』では、眞子さまが抱える複雑性PTSDの症状、皇室と誹謗中傷について専門家と共に考えた。
複雑性PTSDとは、一体どのような病気なのだろうか。精神科医で産業医の井上智介氏は「まず、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、災害や事故、犯罪といった何か1つの出来事に巻き込まれたとき、それが大きな心の傷になってしまい、それによりさまざまな症状が出る。この複雑性PTSDは、長期的に反復するトラウマが心の傷になって、さまざまな症状が出てくる疾患だ」と話す。
では、具体的に複雑性PTSDには、どのような治療法があるのだろうか。
「治療としては非常に複雑なものになる。『薬を飲めば治る』といった話ではなく、本当にいろいろな人が関わって、治療していく必要がある病気だ。ドクターだけではなく心理士さんや、ケースによっては福祉関係者なども絡んでくる。心理療法がメインで、治療の期間にも症状の度合いによって個人差がある。5年かかる人もいればやっぱり10年かかる人、そして一生というか抱えながら(治療を)やる人もいる。やっぱり少なくとも年単位の治療になるし、それでも(病気を)うまくコントロールできない人もいる」
眞子さまが抱える複雑性PTSDについて「完治は非常に難しい」と話す井上氏。“寛解”といったレベルでフラッシュバックなどの症状が出てこないようにする、出てきたとしても日常生活でそこまで弊害がないよう自分で対処できる状態を作ることが最初の治療目標になるという。
また、眞子さまは結婚後、渡米し小室さんと同居する意向を示している。この決断は治療にどのような影響を与えるのだろうか。井上氏は「ドクター含め、治療環境、治療の内容としてアメリカは進んでいる」とした上で、「渡米によって誹謗中傷の声をどこまで届きにくくできるか。治療を成功させるために、これが大事な視点だ」と話す。
アメリカと日本では、治療にどのような違いがあるのだろうか。
「アメリカは、心理療法の面で非常に日本と違っている。日本では認知行動療法などがベースで、トラウマの治療に対応する心理士さんやドクターの数も少ない。海外には銃に関する事件や、トラウマになるような出来事も数多くあり、それによって治療が発展している面もある。治療法が日本より進んでいるといっても、日常生活に安心と安全があるかどうか。これが治療の大前提になる」
婚姻届けを提出する26日に2人そろって会見が予定されているが、複雑性PTSDを抱えた状態で記者会見は行えるのだろうか。
「眞子さまは、公務や結婚の準備期間中は、特に問題なく過ごせていると発表があった。だから、記者会見もうまくできるだろうと思うが、ただ、複雑性PTSDの1つの特徴として、人に対する怖さを抱えている患者が多い。会見を開くことで『もしかしたらこの中に自分を誹謗中傷する人がいるんじゃないか』と、少し過敏になってしまわないか心配だ」
一方、皇室ジャーナリストで元宮内庁職員の山下晋司氏は、去年の11月13日に出た眞子さまの“お気持ち”を表した文書に言及する。
「私は去年から『今年(2021年)の秋に結婚するだろう』とずっと言い続けていた。これはだいたい当たっていた。去年の夏から秋にかけて、明らかに局面が変わったと思う。去年の11月13日に眞子内親王殿下のお気持ちの文書が出たが、あの文書の内容は普通では考えられない。私も大変驚いた。眞子内親王殿下が前面に出てきて、いろいろな批判はあるが、私は自分の道を進みます、といった内容だった。秋篠宮殿下も結婚を認めるとおっしゃった。眞子内親王殿下の複雑性PTSDは全く知らなかったが、外から見ていてもこうなると(結婚は)1年以内だろうと思った」
26日には眞子さまと小室圭さんが2人そろっての記者会見が予定されているが、記者との質疑応答はあるのだろうか。山下氏は「いくつかパターンがある」といい、状況から「ビデオメッセージでもいいのではないか」と意見を述べる。
「ビデオメッセージの場合は記者会見という名前にはならないだろうが、一方的にお気持ちをおっしゃるだけであれば、私はビデオメッセージでもいいのではないかと思う。記者からの質問を受け付けないのであれば、そもそも記者会見と言っていいのかどうかもわからない。中には、急に出てくる質問を受け付ける記者会見もあるし、事前確認に出した質問しか答えない記者会見もある。どのように記者クラブと宮内庁が調整して決めるかだが、折り合いがつかなければ『ビデオメッセージで』といった形もあり得る」
また、ネットを中心に相次ぐ誹謗中傷について、山下氏は「小室さん親子に対するものがほとんど」とした上で「これだけ批判の目が向けられる中、私は普通の精神状態でいられなくなるほうがむしろ自然だと思う。小室圭さんの精神力はすごい」とコメント。
「誹謗中傷に対して、宮内庁がどこまでできるかといった問題だが、小室さん親子の件に関しては、宮内庁もやっぱり動きづらい。皇族でもないし、要するに“よその家”。“よその家”に宮内庁が関わることは難しい。眞子内親王殿下や、秋篠宮皇嗣同妃両殿下に対する誹謗中傷に対しては動く可能性もあるが、ごくごく一部で、相当大きなことがないと動かないだろう。週刊誌が間違えている情報はたくさんある。宮内庁からその間違いをいちいち指摘はしない。眞子内親王殿下も、そういう中でどんどん追い詰められていかれてしまったのではないか。宮内庁にもそういう点では責任があると言えるが、かといって(仮に動いたとして)宮内庁がどこまで対応できたのか。それが今後の課題でもある」
今回、宮内庁の会見には、NTT東日本関東病院品質保証室長で精神科医の秋山剛氏が同席していたが、宮内庁にメンタルケアの専門医はいないのだろうか。
この質問に山下氏は「宮内庁には侍医という専属の医者がいるが、精神科医はいないだろう」と回答。「当然、侍医にも内科や外科といった専門がある。今回の先生がどのような伝手なのかわからないが、いい先生、専門の先生に診てもらうのはよくある話だ。(医療には)たくさんの専門の科がある。侍医が20人も30人もいる状況を作るのは、国費の負担では難しいだろう」と話す。
眞子さまの精神的負担が伝えられた今、皇族のメンタルケア体制の構築が早急に求められている。誹謗中傷の抑止や報道の在り方も含め、慎重に議論していく必要がありそうだ。(『ABEMA Prime』より)
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