令和の天才棋士・藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)の登場により、各方面から注目を集めることになった将棋界。それとともに、将棋を指す人も着実に増え、裾野が広がっている。女性ファンも増えていることから、今後は女流棋士のさらなるレベルアップも期待されるところだ。女流棋界の早指し団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」で、チーム伊藤の監督を務めることになった屋敷伸之九段(49)は、女流棋界にも藤井三冠のような逸材が生まれることについて「可能性はあるでしょうね。強い子が増えてきている」と迷わず答えた。
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屋敷九段は、同大会で監督を務めるがチーム伊藤のリーダー、伊藤沙恵女流三段(27)の師匠でもある。奨励会にも入った伊藤女流三段だが、同世代といえば永瀬拓矢王座(29)、斎藤慎太郎八段(28)、菅井竜也八段(29)、佐々木勇気七段(27)ら、男性棋士の中でもトップクラスの実力を誇る者ばかり。「そのあたりの、とんでもないのと奨励会で競っていましたから大変だったと思います。女性1人というのも続いていましたから。ただ今思えば、そこで力を養えたというのもありますね」と、周りに男子ばかりで女子1人、という環境の中でも腕を磨き続けていた時期を思い起こした。
奨励会出身では、現在の女流棋界を代表する里見香奈女流四冠(29)、西山朋佳女流三冠(26)が三段リーグで奮闘、あと一歩で女性初の「棋士」になるところまで迫った。「女流のレベルが上がっているのは間違いないですね。若くて強い女流棋士が増えました。里見女流四冠、西山女流三冠を目指してくる、若くて活きのいい人が出てくる。10代でもかなり強い子が増えた印象があります」と、期待は膨らむ。今回の大会でも野原未蘭女流初段(18)、内山あや女流2級(17)という2人の10代が参加している。
将棋ソフト(AI)の普及もあり、今ではいつどこでも研究が深められるようになってきた。当然、そこに男女差はなく、強さを求める女流たちがソフトを使って研究し、飛躍的に成長する可能性も、十分にある。「女性でも強い子は増えているし、アマチュアでもプロでもトップに近い実力を持った人がいます」と、さらに強くなることは自然だとし、また女性初の棋士についても「里見女流四冠も、西山女流三冠もかなり惜しいところまで行きましたし、実力的には男性の棋士と変わらない。公式戦でも実績を残していますし、続く人も出るはずです。いずれ女性棋士が出てくる気がします」とも話した。
藤井三冠が記録を作り、タイトルを取る度に、各種のメディアでその活躍ぶりが大きく取り上げられる中、女流棋士の強さがさらに増し、その活躍が広まれば、将棋界も新たなステージへと上がる。
◆第2回女流ABEMAトーナメント 第1回は個人戦として開催され、第2回から団体戦に。ドラフト会議で6人のリーダー棋士が2人ずつ指名し、3人1組のチームを作る。各チームには監督棋士がつき、対局の合間にアドバイスをもらうことができる。3チームずつ2つのリーグに分かれ総当たり戦を行い、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。チームの対戦は予選、本戦通じて、5本先取の9本勝負で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)