自民党の岸田文雄新総裁が4日午後、衆院本会議で行われた首班指名選挙で第100代総理大臣に選出された。
官房長官には細田派から松野博一氏、経済産業大臣に萩生田光一氏、9年間務めた麻生財務大臣の後任には鈴木俊一氏、総裁選を争った野田聖子氏は少子化担当大臣に起用。新型コロナ対応を所管する厚生労働大臣に後藤茂之氏、経済再生担当大臣には山際大志郎氏、ワクチン接種担当には衆議院・当選3回の堀内詔子氏が抜擢された。経済安全保障担当の小林鷹之氏、デジタル大臣の牧島かれん氏も同じく当選3回だ。全20閣僚のうち初入閣は13人。平均年齢61.8歳、女性の入閣は3人だった。
4日に迎えた総理大臣として最後の1日。菅内閣は午前の臨時閣議で総辞職した。
記者の質問に対応し続けた加藤勝信官房長官の会見では、記者から「長官が正面から質問にお答えにならない場合もいくつかあった。それでも何度でも追加質問できましたし、途中で妨げられることもありませんでした。歴代長官と比べても会見時間が長く質問数も多く答えてもらいました。改めて感謝申し上げます」といった言葉が出た。
これに加藤官房長官は「十分答えていただけなかったというご指摘も……」と苦笑を浮かべ、「政府の立場としてできる限りの説明はさせていただいた。この場はみなさんとのキャッチボールを通じて国民のみなさんに政府の考え方・政策を発信する重要な場。改めてご協力いただいたことに感謝したい」とコメント。
【映像】記者の謝辞に涙ぐむ加藤官房長官 “菅内閣”最後の閣議(2分ごろ〜)
「次の長官は次の長官のスタイル。会見の主旨、そこはみなさんそれぞれがしっかり受け止められていくのではないかと思います。大変お世話になりました、ありがとうございます」(加藤官房長官)
また、“新型コロナ”対策に奔走した西村康稔経済再生担当大臣は会見で「私自身、学生時代にボクシングをやっていた。打たれ強く、いろいろな批判もいただきましたが、とにかく国民のみなさんの命と健康を守るということを最優先に取り組まないといけない、そんな思いで対応して参りました」とコメント。
「私自身は憎まれ役となっても、とにかく正しいと思うことをそのときのベストで対応していく。それをしっかり説明することである意味、批判を一手に引き受ける覚悟で取り組んできた。多くの皆さんのご協力もあって、そうした中でも4回目の緊急事態を解除できたことに感謝申し上げたい」(西村経済再生担当大臣)
行政改革、ワクチン接種推進に奔走した、河野太郎行政改革担当大臣は「ワクチン・規制改革・行革・公務員制度その他、いずれも1年前はなかなか難しいと思われていた課題。1年を振り返ってみてかなりの分クリアできたのではないか」と語った。
「大事なのはみんなで取りに行こうと、手を前にしっかり伸ばして、掴むことだと思う。今後も現場にしっかり寄り添いながら、思い切って手を前に伸ばして、欲しいものをしっかりみんなが掴んでいく。そういう日本にしていかないといけないかなと思っています。まだまだやるべきことは残っていますが、新しい内閣のもとで残された課題を1つ1つ克服し、国民の皆様からの信頼を得ていけるように、私もしっかりとサポートしていきたい。1年1か月弱ではありますが、本当にありがとうございました」
ニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は、岸田新内閣の顔ぶれに「40代の若手や当選回数が少ない議員も起用されている」と言及。特に注目しているのは、デジタル大臣に就任した牧島かれん議員だという。
「牧島議員は、自民党のデジタル本部で事務局長を務めていた。デジタルに関しての知見はかなりあるのだろうと思う。大学院で学位をしっかりとっているし、専門家に耳を傾ける姿勢もちゃんとあるのではないか。デジタル庁は新しいチャレンジも多く、失敗もあるだろう。失敗があったとき『女性だから』『若いから』といった理由で批判される可能性もあるにもかかわらず、こういった人材をデジタル大臣に配置したことは評価したい。今後の牧島議員の活躍にも期待だ」
また、新設された経済安保担当大臣のポストには、当選回数3回の40代の小林鷹之議員を起用。石田氏は「岸田総裁も高市早苗氏も選挙中、経済安保をかなり重要視していた」とした上で、「岸田総裁は元々外務大臣。海外にも強く目を向けていた。非常に重要なポストだが、まだ当選回数が少ない若手の小林鷹之議員を起用した。周囲からの評判もよく、実力もある方なので、今後どのような手腕を発揮してくれるか注目が集まっている」と解説。
フレッシュな顔ぶれで迎えた新内閣だが、一方で石田氏は「逆風が吹くリスクもある」と指摘する。
「見知った顔がいないことで、有権者から『パっとしない』と思われ、選挙で自民党に逆風が吹いてしまう可能性もある。来年にも選挙を控えているので、今回の衆院選でしっかり戦えるのかどうか。現状の若手でもしっかり実力を示せるのか。ちょっとつまずいてしまうと、また『古い自民党だ』に戻っていくリスクがある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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