1日、今年も全国各地の企業で内定式が行われた。コロナ禍ということもあり、昨年に引き続きリモートで実施した企業も多いようだが、もしもその内定が、まさに“リモート”による“受験代行”で勝ち取られたものだったとしたら…。
家事代行サービス、さらには謝罪代行など、様々な代行業がインターネットで簡単に見つかる時代。実際、「WEBテスト代行」と検索してみると、数多くの業者がヒットする。
こうした代行サービスを通じ、これまで100件以上の“替え玉受験”を請け負ってきたという大学4年生の西村さん(仮名)は「アルバイト収入みたいな形だ」と話す。「罪悪感がない、と言えばウソになるが、今はズルでもしないと通らないということも聞くし、僕自身、真面目にやってバカを見てしまった方なので、ある意味“復讐”ではないが…」。
そんな西村さんの元には、「合格してました!ありがとうございます!!」「内定して就活終えられました!ありがとうございます!」「また頼むと思いますのでお願いします!」といった依頼者からの感謝の言葉が寄せられている。
就職活動を30年にわたりウォッチしてきたキャリアコンサルタントの上田晶美氏も「筆記試験はWEBで、というのは20年近く前から行われてきたし、当時から英語が得意な学生、数学が得意な学生…と複数人でチームを組み、受験するというケースもあった。コロナ禍によりWEBが主体になる中、やはり筆記試験に受からないと面接に辿り着けないということで心理的なハードルが下がっているのだと思う」との見方を示す。
一方、「企業側としても試験前には学生証を提示させたり、周囲を映させて誰もいないことを確認したりするし、試験中もWEBカメラを通じて監督し、スマホをしまっているかを見るなど、不正対策は進めている。しかし“代行業者”まで出てくると、さすがに看過できない」と危機感も示した。
企業の採用担当の経験も持つキャリアSNS「YOUTRUST」代表の岩崎由夏氏も「“賢い友達を集めて、みんなで受ける”みたいな子たちがいるのことは知っていたが、それほど多くはなかったし対策も難しく、“そういうことができるのも実力のうちなんじゃないか”という意見さえあった。ただ、業者にお金を払って、となると話は変わってくる」と指摘。
このような“替え玉受験”について深澤諭史弁護士は「点数という根本をひっくり返すことになるので、偽計業務妨害罪に当たる可能性が高い。ただし決定的な悪影響がないということと、証明が難しいということから、事件にはなりにくいのか」と話している。
前出の上田氏は「企業の人事担当者に聞くと、例えば100点満点のうち半分もとれないような人は、入社してから研修についてこれないこともあるようだ。その意味では“WEBテストはこれでおしまい”ではないし、不正をするような人が面接で人柄をどのように伝えるつもりなのかという疑問もある…」と懸念を示していた。(『ABEMA Prime』より)
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