「私は夫に優しくできない」。そんな妻の思いを描いた漫画が、今ネットで反響を呼んでいる。
今月8日、Twitterに投稿されたこの漫画の主人公は、生後まもない子どもを抱える1人の女性。結婚後、常に夫に優しくふるまってきた彼女の心境に変化が訪れたのは、第1子の妊娠・出産だった。
つわり期に、「ねー車で会社送ってー」とお願いしてくる夫。妻は「つわり辛いから…自分で行って…」と返すが、夫は「えー送ってよー、お願いー」と繰り返す。また、「私ほとんど寝れてないから起きて代わってくれない? 起きてよ…」と訴える妻を前に、「ぐーぐー」と寝ている夫。
育児を手伝わず、休日は寝てばかりの生活を送る夫。そんな日々の言動の積み重ねに、気付けば夫に対する優しさは空っぽに。その後、夫の行動は改善されたものの、当時の記憶から、妻は夫に対して優しい言葉をかけることができなくなってしまった……というストーリーが描かれている。
「産後の恨みは一生」。そんな様子を描いた漫画にネットでは、「産後の恨みは一生。わかる」「うわ~今の私だ」などと共感の声が多く寄せられた。
『ABEMAヒルズ』では、漫画を投稿したポジ子(@pojikatsu)さんを取材。漫画を描いたきっかけは、自身の心の整理をするためだったという。
漫画への反響について、「想像以上に同じような境遇の女性が多いことにも驚きました。逆に妻の方が何もしなくて困っているという方も居て、色々な家庭があるなと改めて思いました」とポジ子さん。
夫との現在の関係については、「腹が立つこともまだまだありますし、喧嘩もたまにしますが、今後一緒に暮らしていく上で、ある程度の衝突は必要なことかなと思います。諦めずにちゃんとこの人と向き合っていこう、と思えています」と明かした。
漫画でも描かれている、出産後に夫婦仲が急速に悪化してしまう「産後クライシス」。これは決して珍しいことではない。子どもを持つ女性を対象にした「カラダノート」の調査では、「産後、夫への愛情に冷え込みを感じるか?」という質問に対し、62.3%の人が「ある」と回答。約6割の女性が「産後クライシス」を経験していたのだ。また、冷え込みを感じ始めた時期については、9割以上の人が「産後半年以内」と回答したという。
長年、夫婦問題を研究する岡野あつこ氏は、「産後クライシス」に陥る原因を次のように分析する。
「今までとは全く違った生活が訪れることによって、その生活が慣れてないことによって、子育てや産んだ奥さまのケアのこととか、そういうことが夫の方ではわからない。夫にとっては、一緒に育てていくというのは頭でわかっているけれども、実際どうやったらいいかわからないというところで、クライシスが起きる」
そして、産後クライシスに陥りやすい夫婦にはある共通した特徴があると岡野氏は話す。
「夫が仕事中心で、家庭をあまり顧みないという人は産後クライシスに陥りやすい。子どもが産まれる年代というのは、だいたい男性で30代前後なので、仕事もちょうどこれからというところ。家族のために仕事をして、一生懸命働くというのが妻に伝わればいいが、(仕事だけでなく)趣味や友達の付き合いに時間を割いているような人は、妻の方もわかってしまう。『仕事だけじゃないでしょ』『私の手伝いもできるでしょ』という不満につながっている」
では、産後クライシスに陥らないためにはどうすればいいのか。岡野氏は、夫婦間でのルール作りが重要だと訴えた。
「ルールや役割分担を作っておくと、子どもが生まれてからの協力体制がはっきりしてくる。そういうことがとても大事だと思う。先輩方に聞くとか、自分の親に聞くとか、経験者に聞いた上での準備に入っておくことがいいと思う。子どもがいても私たちは2人でデートするよとか、子どもがいたら3人で出かけるよとか。よそと比べない独自の家族像といのを作って、幸せというのはこんなもんだなというのを早め早めで作り上げておく。そして、間違っていたら途中で軌道修正する。こういうことが大事だと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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