将棋の藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)が10月19日、順位戦B級1組で郷田真隆九段(50)に106手で勝利、今期の成績を6勝1敗とし初のA級入りに、また一歩前進した。藤井三冠は5局を残しており、全勝すれば自力で昇級が決定する。
【中継】順位戦 B級1組 第7回戦 藤井聡太三冠 対 郷田真隆九段
前日まで6連勝の佐々木勇気七段(27)、5勝1敗ながら前年成績をもとにした順位で上を行く千田翔太七段(27)に次ぐ3番手につけていた藤井三冠だが、A級への昇級枠は上位2人。3人それぞれ直接対決を残しているが、その前に2敗を喫すると苦しくなる藤井三冠にとって、タイトル6期の実績を誇る郷田九段との本局は負けられない戦いだった。
郷田九段の先手番から角換わり腰掛け銀で始まった一局は、午後6時からの夕食休憩まで、形勢では全く互角。ただ持ち時間では藤井三冠が約2時間30分のリードを奪っていた。自分の手番で迎えた夕食休憩40分に考慮時間1時間35分と、合わせて2時間15分という大長考も入れながら勝負どころを見極めると、積極的な攻めから徐々にポイントをリード。長考派としても知られる郷田九段とともに、じっくりと考慮を入れながら勝利への道筋を探ると、その後も逆転のきっかけを与えず、強く押し切った。
対局後、藤井三冠は「(序盤は)こちらの玉も薄いですし、手厚くはないので、常にぎりぎりなのかなと思っていました」と語ると、全体通しては「なかなか先手陣の急所がつかめなくて、一局通して判断の難しい将棋でした」と振り返った。昇級に向けては「3番手ですけど、自力の目があるので、昇級を目指して頑張りたいと思います」と抱負を述べた。
B級1組は13人の棋士が総当たりで全12局を行う。藤井三冠はこの勝利で1敗をキープ。他の棋士が21日に一斉対局を行うが、ここで佐々木七段、千田七段がともに勝利すれば3番手のまま。どちらかが敗れた場合は2番手に、両者が敗れれば一気に首位に浮上する。藤井三冠が今期、A級への昇級を決めた場合には、最年少での名人獲得の可能性が継続。来期、A級初参戦で名人に挑戦、さらに獲得すれば谷川浩司九段(59)が持つ21歳2カ月の最年少名人記録を更新することができる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)