「支持母体や規制を守って成長できたのは昭和まで。このままではみんなでジリ貧になる社会だ」日本維新の会・吉村洋文副代表 各党に聞く衆院選(3)
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 きのう公示された衆院選。『ABEMA Prime』では22日までの間、主要政党から代表者を招き、各党の政策やビジョンについて聞いており、19日には日本維新の会の松井一郎代表に代わり、副代表の吉村洋文氏(大阪府知事)が生出演。

 松井代表が「日本の形、一部の既得権の人たちが良い思いをしている、昭和から続いたこの構造に、令和の時代にふさわしい日本を我々に作らせてください」「永田町・霞が関に少しでも広げられるような力を与えていただきたい」と訴える“改革”について、大阪での実例も交えて語った。

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■子どもが自分の可能性を追求できる社会を実現したい

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 2015年に地域政党「おおさか維新の会」から国政へ躍進を果たした日本維新の会。今回の総選挙では女性13人を入れた94人の候補を擁立している。

 維新の実績について吉村副代表は「政権与党ではないから国政に関しては公約の実現率は20%くらいだと思う。ただ大阪では95%くらい実行している」とアピール。「一言で言うと、ずばり“改革政党”だ。ほとんど全ての政党は支持母体があるので、そっちの方を向いた政治をしている。しかし日本維新の会は特定の支持母体を持たないので、大阪維新の会なら大阪の利益、成長のための仕事ができる。また、政治家の甘い身分に対しても徹底的な“身を切る改革”をしていく。役所のおかしなところは正していきながら、次の世代や日本の未来、今の利益よりも将来の利益、目の前の人よりも遠くの人、という徹底的な改革政党だ」と語る。

 大阪での実績、また、未来への投資という観点から、教育格差の解消を強調する。

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 「維新の会は口だけではなく、実行してきた。大阪では教育の無償化を実現させた。私立高校は橋下さんの時に、そして僕が市長になったときには幼児教育無償化をやって、国が後から追いかけてきている状況だ。大阪市立大学と府立大学を併せた大学も作り、府民であれば無償で行けるようにした。やっぱり日本は油が出る国ではないので、人の力、教育だ。しかし、教育には金がかかるので、家庭の経済格差が教育格差になってしまう。生まれてきた子どもが自分の可能性を追求できる社会を実現したい。投資だと考えれば、本当に少ない元手から大きな効果が得られる投資だ」。

■選択を重視する、というのが基本的な考え方

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 実業家のハヤカワ五味氏は「女性ということもあり、選択的夫婦別姓やクオータ制や関する政策に注目している。日本維新の会はそれぞれに賛成の立場だが、自民党が反対の姿勢を取る中で、どうなれば実現されるのだろうか」と質問。

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 吉村副代表は「自民党の中でも、ちょっと前までは“夫婦別姓なんてとんでもない”という感じだったのが、“これは認めた方がいいのでは”という声も増えてきている。ここからは若者や僕ら野党がガンガン押していくことで可能になって来ると思う。反対派もいるのも事実だし、いきなりは難しいということであれば、イデオロギー対イデオロギーの対立にするより、現実的に選択できるようにした方がいいと思っていて、まずは旧姓使用から認めていこうよという提案をしながら一つずつクリアしていけばいい。

 維新は右寄りで偏っていると思われがちだが、僕は大阪市長の時にLGBTの問題に取り組んでいた。“なんで維新なのにそんなこと言うの?”と言われることもあったが、“生まれながらのもので差別するのはおかしいんじゃないの?”という感覚から、国民の色々な可能性を認めていくということだ。それは消費者の選択を認めていくという規制緩和にも繋がってくる話で、一定の価値観で強制的に押さえつけようというのは違うのではないか、選択を重視する、というのが我々の基本的な考え方だ」。

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 さらにクオータ制に関しても、「維新は“筋肉マッチョ”なイメージを持たれていることも多いが、女性の比率は高めていきたい。ただ、公認すると言っても手を上げてくれる人がそんなに多くないというのもある。大阪府では、事実上のクオータ制みたいなものを導入した。新入職員は男女ほぼ平等なのに、副知事などの幹部職員になると男性ばかりになってくる。これだけ男に偏るのはどこか歪だ。知事として、僕は課長、課長補佐のあたりは最初の比率のままにしていきたい。そして最後はやっぱり能力だと思うので、そうすれば幹部職員も能力で選べることになる。もちろん幹部になるよりは家にいたいという意識の女性もいる。うちも専業主婦だし、“専業主婦はダメだ”と言うのもおかしい。ただ、働きたいのに働けないなど、選択の幅が狭くなることには反対だ。なかなか難しい部分はあって、単に枠だけを作って入れていくというのはどうかとも思うが、組織として強くならない」と話した。

■新たな挑戦、価値観を認め、セーフティネットの整備を

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 一方、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「維新は”小さな政府”や“規制緩和”、“能力主義”など、いわゆる“新自由主義的”な方向性をお持ちだと思う。今回、立憲民主党や日本共産党は安倍政権以降の流れを新自由主義だと批判しているが、そこに関してはどう見ているのか」。

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 吉村副代表は「岸田さん自身、総裁選では“新自由主義からの脱却”を訴えていた。ただ、海外を見たときに日本が新自由主義なのかと言えば、僕はそうではないと思う。そもそも新自由主義って何やねん、というのがあるが、先ほども言った通り、我々としては新たな挑戦、価値観を認めるべきだと思っているということだ。

 やっぱり日本は社会主義的な発想が強く、新たな参入やチャレンジということに対する拒否反応がものすごいし、規制もたくさんある。それらはできるだけ取っ払い、挑戦し失敗した人たちのためのセーフティネットの社会システムをしっかり作ろうよということだ。その一つの知恵として、若い人たちに訴えたいベーシックインカムの導入もある。その上で、新たなことにどんどん挑戦できる社会を作っていくべきだと思っている。

 いま番組に出られている皆さんも、すごい能力があって出ているわけだが、皆さんよりも能力があって、本当はチャレンジしたかったが、会社員や公務員になったという人たちもいっぱいいると思う。それは、失敗したときのリスクすごく大きいからだ。でもセーフティネットで支えられるようになり、どんどんチャレンジするようになれば、新たな産業も出てくるはずだ。そういう社会にしなければ、日本は成長しないとすごく思う。新自由主義という言葉を使うのもいいけれど、みんなで一緒にジリ貧になっているとしか思えない」。

■新たな規制を一つ作るごとに、古い規制は二つ廃止する

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 そこで日本維新の会では、規制改革のための「2:1ルール」も提唱している。これについて吉村副代表は「アメリカもヨーロッパも中国もものすごく成長しているが、日本はおかしな規制がありすぎて新たな産業が生まれないような、本当にガラパゴスみたいな構造になっている。新規参入を阻害するような規制に対してはメスを入れるべきだ。そこで、これからは官僚が新たな規制を一つ作るごとに、古い規制は二つ廃止する、ということだ。日本よりも新たなことできる社会なのに、アメリカのトランプ前大統領も取り入れたルールだ」と説明。

 その上で「例えば少数のテレビ局だけが電波を持っているのもおかしいと思う。チャンネルだって、もっといっぱいあったらいい。政治番組の討論だって、公平性に配慮するあまり、つまらない意見発表会みたいになってしまっている。うちの局はこの政党を支持していると立ち位置を明確にし、自由闊達な議論をしたらいい。農業だって、農家さんがベースのままではジリ貧になっていくのに、いくらすばらしい技術を持っていても株式会社では原則的にできないことになっている。

  僕は大阪で“空飛ぶ車”を飛ばしたいが、ヘリポートがどうだとか、いろいろな規制がある。そうやって新規参入を阻害しているのが日本の基本的な立場だし、特定の業界や団体に支援されている自民党の政治だ。しかし、それらを守って成り立つのは昭和までだ。もう30年間も成長できていないのは、そうした規制に阻まれすぎているからだ。不都合な真実だが、日本は完全な高齢化社会で、これから若者が圧倒的に減っていく。46歳の僕が生まれた年の出生数は200万人だが、今は80万人だ。年金も成り立たなくなっていくのに、嘘をついて進んでいる。僕にはタイタニック号が沈んでいるようにしか見えない」と訴えた。

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 視聴者からは、外国資本の参入に対する懸念の声も寄せられた。

 吉村副代表は「例えば国防の観点から守らなければならないところもあるし、そういった部分に関して一部を規制することは必要だ。具体的には基地の近くなど、国家として重要な土地には参入できないようにする。ただ、過度に拒否するのは違う。やはり護送船団方式には反対だし、これからは移民を受け入れないと成り立たない社会になってしまう。どうしても日本人の文化の中でやってきているが、そういう判断しなくてはいけない時期が必ず来る。僕としては、今のうちに日本人の中でチャレンジできるように、若い人が少ない中でも国家運営として成り立つような社会を作っておかないと、逆に海外からどんどん侵略されてしまうという危機感も持っている」と答えた。

■岸田総理になって対立軸が明確になったので戦いやすい

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 作家の乙武洋匡氏からは「新規参入はすごく大事で、そのために多くの分野で規制を取っ払おうというのもわかる。ただ、政治の分野での新規参入を促すために、例えば国会議員は20年までしかやれないとか、世襲はダメといった規制を入れることはどうか」との質問も出た。

 吉村副代表は「なぜ近くの小学校で1日しか投票できないのか。ネットでできるようにしたらいいではないか。供託金も、本当にその金額でいいのか。ポスターに関する規定もある。とにかく政治の世界も新規参入を抑制するためのルールがいっぱいある。むしろそっちを外していけばいいのではないかと思うし、“0歳児選挙権”なんかをやると、若者もぐっと入ってくると思う」とした。

 「岸田総理になって対立軸が明確になったので戦いやすい。その意味では、菅前総理の時の自民党の方が改革政党で良かった。今回の選挙を通して、自民党をビビらせる政党にはなりたいと思う」と語った吉村副代表。自身の国政復帰の可能性について問われると、「今のところはない。まずは大阪を良くして、大阪を成長させる。そうやって日本の国益に貢献したい」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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